バンコクから日帰り泰緬鉄道への行き方。見どころ、列車の時刻表、知っておくと楽しい歴史も解説。

アルヒル桟道橋を走る列車

(アルヒル桟道橋さんどうばし。泰緬鉄道の見所の一ヶ所)

泰緬鉄道たいめんてつどうとは、バンコクのトンブリー駅(Thonburi)を起点に、西はカンチャナブリーを経てミャンマー近くのナムトック駅(Namtok)まで伸びるタイ国有鉄道南本線の鉄道です。

トンブリー駅からナムトック駅までの鉄道地図

(トンブリー駅からナムトック駅までの鉄道地図。距離は約180km)

泰緬鉄道は、カンチャナブリー市を代表する観光地であると同時に、バンコクから同市へ列車でアクセスする際の経路としても知られています。

 

泰緬鉄道が観光地として人気の理由は、同鉄道敷設ふせつにまつわる歴史的経緯にあります。

泰緬鉄道は、太平洋戦争(第二次世界大戦)時代に、「アジアの植民地解放戦争の作戦の一環」として、旧日本陸軍がタイからビルマ(現ミャンマー)への物資輸送をする為に敷設した鉄道なのです。

日本人にとっては、戦争における日本と東南アジアの関わりを改めて自覚できる場所と言えます。

 

また、路線上には戦争時の劣悪な環境の中で敷設された「戦時中の爪痕」とも言える見所が点在しています。

背景だけでなく視覚的なインパクトも大きい観光名所です。

アルヒル桟道橋を訪れている観光客達

(多くの観光客が訪れる)

詳しい経緯は後述していますが、泰緬鉄道の敷設には、多数の日本人や連合軍白人捕虜、現地の労務者が酷使こくしされ死亡しました。

泰緬鉄道を走る列車には、先の大戦に対して異なる解釈を持つであろう日本人と欧米人が一緒に乗り合わせているので、やや不思議な気持ちにもさせてくれます。

 

泰緬鉄道はバンコクから列車に乗って日帰りで観光可能です(片道たったの100バーツ)。

今回の記事では

  • 泰緬鉄道の簡単な歴史
  • 泰緬鉄道にある3ヶ所の見どころ
  • 列車の時刻表や運賃
  • 日本語ガイド付き日帰りツアー

について詳しく記載します。

タイへ旅行に行く人の中には、鉄道の観光はもちろん、この列車の旅を楽しみにしている人も多いかと思います。

観光前に予備知識を持っておけば、現地に着いてからの楽しみが増すでしょう。

泰緬鉄道の旅が楽しくなる簡単な歴史

クウェー川鉄道橋駅1

(クウェー川鉄道橋。泰緬鉄道の見所の一ヶ所)

第二次世界対戦中の1942年7月、旧日本軍はタイ側からビルマ側への物資補給ルートとして、泰緬鉄道の敷設を開始しました。

(開通は翌1943年10月。たったの1年3ヶ月で完成させた)

 

当時の泰緬鉄道は、タイ西部のノンプラドックからビルマ南部のタンビュサヤに至る長さ415kmの鉄道でした。この長さは東京から岐阜県の距離に匹敵します。

(当時の泰緬鉄道)

こんなにも長い鉄道をたった1年3ヶ月という急ピッチで敷設した理由は、当時の旧日本軍がビルマへの物資補給ルートを早急に陸路で確保しなければならない状況にあったからです。

これは、旧日本軍が当時イギリスの統治下にあったビルマの制圧に成功したのは良かったものの、制海権を米軍に握られてしまい、ビルマへの物資補給ができなくなったためです。

 

旧日本軍は、米英連合軍による反攻を懸念していました。

早急にビルマへの物資補給ができなければ、連合軍にビルマを取り返されてしまう恐れがあったのです。

そこで、同盟国であるタイの政府から許可を得て泰緬鉄道の敷設を開始しました。

泰緬鉄道の敷設には連合軍の白人捕虜・現地の労務者が使役された

泰緬鉄道を敷設している捕虜と労務者

連合軍の反攻を抑えるため、旧日本軍は急ピッチで鉄道の敷設にとりかかりました。

敷設にあたって重要視したのはコストや完成度より期間

ビルマは険しい山脈に囲まれた国であるため、一般の鉄道敷設と同じ手法では時間がかかってしまいます。

そのため、まずは繋がりさえすればよく、手抜き工事も良しとしました。

 

こうして開始された鉄道敷設には、連合軍の捕虜だけではなく、日本軍の鉄道隊、タイ人、占領地から募ったマレー人、ジャワ人など、合計で約40万人の人が働いたのです。

強制連行される捕虜

(強制的に連行される捕虜)

険しい山を切り開きながら進む敷設の労働環境は過酷極まりないものでした。

そのため、作業に使役された40万人の内、半数近くが餓死、過労死、コレラやマラリアによる感染症で命を落としたとされています。

連合軍共同墓地

(カンチャナブリー市街にある連合軍共同墓地。作業に使役され亡くなった人が祀られている)

(捕虜として使役していた当時のイギリス兵捕虜が体験した過酷さを表現した映画。
ちなみに動画内で流れている音楽は「クワイ河マーチ」といって、映画のテーマ曲になっている。「サル、ゴリラ、チンパンジ〜♪」でお馴染みのリズム)

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こうして完成した泰緬鉄道ですが、終戦後には連合軍によりミャンマーへ繋がる部分は撤去され、現在のトンブリー 〜 ナムトック間のみの運行となりました。

泰緬鉄道の観光。絶対に見るべき3つの見所

上述したように泰緬鉄道は、バンコクのトンブリー駅から西へ約180kmの終点ナムトック駅まで繋がっています。

列車の車窓からは永遠と長閑のどかな平原の田舎風景が続きますが、
列車がカンチャナブリー駅を過ぎてからは、ナムトック駅に至るまで以下3ヶ所の見所があります。

  • クウェー川鉄橋(戦場にかける橋)
  • チョンカイの切り通し
  • アルヒル桟道橋さんどうばし

トンブリー駅からナムトック駅までの路線図

泰緬鉄道の見所MAP

(各見所の場所を記した地図)

以下で各見所を紹介します。

クウェー川鉄橋(戦場にかける橋)

クウェー川鉄道橋駅1

クウェー川鉄橋は、カンチャナブリー駅の次駅「クウェー川鉄道駅(Saphan Kwae Yai Station)」からクウェー川に架かる長さ300mほどの鉄橋です。

カンチャナブリー市街の中心に位置しているため、多くの観光客が鉄橋の上を散策しています。

戦場にかける橋の上で歌うタイの子供達

(鉄橋の上で演奏している地元の子供達)

一見、何の変哲もない鉄橋ですが、ビルマへの物資輸送の阻止を目論もくろむ英米軍より複数回にわたって爆撃を受けた歴史があります。

戦場にかける橋のオリジナル部分と修復された部分

(鉄道のアーチ部分は旧日本軍が作ったオリジナル。台形部分は爆撃後に修復した部分。修復は戦後賠償として日本が行った)

何も知らないと、ただの橋にしか見えませんが、ちょっと歴史を知るだけで非常に感慨かんがい深い場所です。

 

通過する列車から見たクウェー川鉄橋

列車から見たクウェー川鉄橋。

列車が通過する際、観光客は鉄橋の隅に設けられた待避所にて列車の通過をやり過ごします。

日本ではありえない光景ですが、このスリルも観光地としての人気の理由です。

チョンカイの切り通し

チョンカイの切り通し

クウェー川鉄橋駅から2駅のカオ プン駅(Khao Pun Staion)周辺の見所。

険しい岩山の中に、列車がギリギリ通れるくらいの幅(約4m)のみ削り取られた道が開けています。

手を伸ばせば、線路両脇の岩場にタッチできるくらいの距離です。

かなりのスリル。

 

チョンカイの切り通しは、優れた重機がない中、険しい岩場を突貫工事で切り通して作られた道です。

重機がないので、人手による掘削くっさくのみで岩場を切り開きました。

常識的に考えれば無謀としか言い様がない過酷な作業ですが、当時の旧日本軍はそのくらい切羽詰まっていたのでしょう。

もちろん、その代償は大きく、この切り開き作業だけでも1,000名以上の人が命を落としたとされています。

アルヒル桟道橋さんどうばし(タム・クラセー桟道橋)

列車から見たアルヒル桟道橋

終点のナムトック駅(Namtok Station)より6駅手前のタムクラセー橋駅(Saphan Tam Krasae Station)に架かる長さ約400mの高架橋です。

崖に沿って、高さ約8mの高架橋が架けられています。

アルヒル桟道橋は泰緬鉄道観光のハイライトです。

ツイートでも述べているように、アルヒル桟道橋の上を自由に歩くことができます。

アルヒル桟道橋を散策している観光客達

上述したように、アルヒル桟道橋の高さは約8m、長さは約400m。

桟道橋は木製で、しかも大人二人がギリギリすれ違える程度の幅です。

アルヒル桟道橋を歩いている日本人観光客

アルヒル桟道橋から見えるクウェー川

(万が一落ちたら崖下へ真っ逆さま)

加えて、ご覧の通り高架橋には待避所がありません。

そのため、遠くで列車の汽笛が聞こえてきたら、急いで列車を退避できるスペースがある場所まで戻らなければいけません。

列車は最徐行で高架橋を通過しますが、中々のスリルです。

アルヒル桟道橋を通過する列車2

普通に危険です。日本だったら、こんな場所は絶対に観光客に開放していません。

さすがはタイと言うべきか。

 

アルヒル桟道橋から見えるクウェー川

アルヒル桟道橋から見えるクウェー川の景色。

アルヒル桟道橋も、多くの労務者が命を落とした場所ですが、今ではそんなことは微塵にも感じさせない穏やかな景色が広がっています。

橋の上からクウェー川を眺めるのは開放感があって清々しいです。

 

クラセー洞窟

クラセー洞窟内に安置されている仏陀像

アルヒル桟道橋の脇には、仏陀を安置している洞窟もあります。

せっかくなので、桟道橋を散策する際に洞窟にも足を運んでみましょう。

 

通常、泰緬鉄道の日帰り観光では、バンコクのトンブリー駅から終点のナムトック駅まで乗って、ナムトック駅から折り返してトンブリー駅へ帰る人が多いです。

しかし、上述したようにアルヒル桟道橋では、観光客が高架橋上を歩くことができます。

なので、アルヒル桟道橋があるタムクラセー駅(Saphan Tam Krasae Station)で下車して、桟道橋の散策を楽しんだ後、折り返しの列車に乗ってトンブリーへ帰るのがおすすめです。

タムクラセー駅から終点のナムトック駅までは、ただ田舎風景が広がるだけで見所はありません。

終点ナムトックまでは行かず、タムクラセー駅で下車してアルヒル桟道橋を歩く方が絶対に楽しいです。

 

時刻表含め、バンコクからの詳しいアクセス方法は以下で解説しています。

バンコクからの泰緬鉄道の乗り方(時刻表と運賃も解説)

泰緬鉄道を走る列車には、バンコクのトンブリー駅(Thonburi Station)から乗車できます。

以下はトンブリー駅の場所を記した地図

トンブリー駅へのアクセスはタクシーがおすすめです。

BTSサパーンタクシンからチャオプラヤーエクスプレスボートに乗ってアクセスすることもできますが、列車の時刻表(詳細は後述)の都合上、
エクスプレスボートでのアクセスするなら通勤ラッシュの時間帯に乗ることになります。

通勤ラッシュ時のチャオプラヤーエクスプレスボート利用はしんどいので、タクシーでサクッとアクセスしましょう。

トンブリー駅の最寄りはBTSヴィクトリーモニュメント(Victory monument)です。

バンコクの路線図(BTSヴィクトリーモニュメント)

(ピンク色の四角で囲んでいる駅がBTSヴィクトリーモニュメント)

BTSヴィクトリーモニュメントからであれば、タクシーで25分程度でトンブリー駅へ行けます。

トンブリー駅

(トンブリー駅)

トンブリー駅発、ナムトック行き列車の時刻表

トンブリー発ナムトック行き列車
トンブリー発
(Thonburi)
カンチャナブリー駅
(Kanchanaburi)
タムクラセー橋駅
(Saphan Tam Krasae)
ナムトック着
(Namtok)
6:077:378:20
7:50
  • 着:10:25
  • 発:10:35
  • 着:11:51
  • 発:11:53
12:35
13:55
  • 着:16:24
  • 発:16:26
  • 着:17:50
  • 発:17:51
18:30

トンブリー駅から終点ナムトック駅までの所要時間は片道約4時間30分

かなりの長旅です。

トンブリー発の列車は、1日に7:50と13:55の2本のみ。

しかし、帰りのナムトック発トンブリー行き列車の終電(時刻表は以下に記載)は12:55です。

つまり、13:55トンブリー発の列車でナムトックに行くと、帰りの足を確保できなくなってしまいます

そのため、7:50トンブリー発の列車に乗るのが必須です。

必ず7:50発の列車に間に合うよう、トンブリー駅に向かいましょう。

例えばスクンビット界隈(BTSアソークやBTSナナ周辺)に滞在している人なら、余裕を持って6:15くらいにホテルを出れば、楽勝で間に合います。

ナムトック駅発、トンブリー行き列車の時刻表

ナムトック発トンブリー行き列車
ナムトック発
(Namtok)
タムクラセー橋駅
(Saphan Tam Krasae)
カンチャナブリー駅
(Kanchanaburi)
トンブリー駅着
(Thonburi)
5:205:577:1710:25
12:55
  • 着:13:34
  • 発:13:36
  • 着:14:45
  • 発:14:48
17:40
15:30
  • 着:16:09
  • 発:16:10
  • 着:17:37
  • 発:17:41

ナムトック発トンブリー行きの列車の終電は12:55。間に合うように乗りましょう。

タムクラセー橋駅でアルヒル桟道橋を散策する人は、13:36発の列車に必ず間に合うようにしましょう。

トンブリー発タムクラセー橋駅列車の到着は、上述したように11:51です。

タムクラセー橋駅発トンブリー行き列車が出発する13:36までは1時間以上も時間があるので、ゆっくりと散策を楽しめます。

また、タムクラセー橋駅は観光客が多いこともあり、駅周辺には食堂やお土産の数が多いです。

散策後、時間が余っても暇することなく時間を潰せます。

タムクラセー駅周辺のお土産屋

(タムクラセー橋駅周辺のお土産屋)

列車の運賃は片道100バーツ

行きも帰りも、列車の運賃は一律100バーツです。

日帰り観光には日本語ガイド付きのツアーがおすすめ

個人的には、バンコクからの日帰り観光であれば、トンブリー駅から自力で乗車して行くより、ツアーを利用する方が効率的だと思います。

>>>泰緬鉄道 + ナコンパトム観光ツアー【宿泊ホテル送迎 + 日本語ガイド付き】

自力で列車に乗って行く場合、トンブリー 〜 ナムトック間の往復だけでほぼ1日を使ってしまいます。また、1日中列車に乗っているのは正直しんどいです

上記で紹介した3ヶ所の見所も往路時に見る時は新鮮ですが、復路時には新鮮さより早く帰りたいという気持ちの方が高まるかもしれません(自分は高まりました)。

上記のツアーであれば、バンコクからの送迎付きなので、列車は見所となる区間だけ乗車、また世界一高い仏塔があるナコンパトムの観光も同時に楽しめます。

ナコンパトム観光のアイキャッチ画像
ナコンパトム観光ガイド。日帰りもできる世界一高い仏塔がある町。

また、ツアーでは泰緬鉄道敷設にあたっての歴史が学べる博物館や、連合軍共同墓地など、泰緬鉄道乗車前に行っておきたい施設へも案内してくれます。

日本語ガイドがいるので、詳しい知識も教えてもらえます。

自力で行くよりお得かつ何倍も泰緬鉄道観光を楽しめるでしょう。

ガイドは写真係にもなってくれます。

反日感情に囚われず泰緬鉄道を楽しみたい

泰緬鉄道を走る列車

カンチャナブリー市街にある博物館へ行くと分かりますが、泰緬鉄道に関する歴史はどうも白人被害の強調があるように思えます。

例えば、白人捕虜が虐待されたような表現は多いですが、日本軍の見ていない所で鉄道の破壊工作を行い、日本軍にも多数の被害があったことなどは書かれていません。

反日とまでは言いませんが、日本が悪者としての偏った表現が多いため、見ていると少々具合が悪いです。

戦争を肯定するわけではありませんが、日本軍の勝利がアジア人の士気を高めた一面があるのも事実でしょう。

 

何にせよ、泰緬鉄道の観光は非常に興味深いものでした。

正直、筆者はこうした歴史に詳しくない(と言うか関心が少ない)方ですが、泰緬鉄道の「観光」を通して日本に関する歴史を学べたのは良かったです。

車窓からの風景を楽しみながら、歴史に思いをつのらせることができます。

こういった観光地は少ないので、日本人なら絶対に行く価値があるでしょう。

バンコクに滞在する人は、是非とも泰緬鉄道に乗ってみて欲しいです。

 

その他、カンチャナブリーにある全ての観光地については、以下の記事を参考にどうぞ。

クウェー川鉄橋(戦場にかける橋)を走る列車
カンチャナブリー観光の完全ガイド。安い旅費でたっぷり観光できる!バックパッカーにもおすすめの都市。

カンチャナブリーは泰緬鉄道以外にも見所が多いので、時間がある人は1泊以上して様々な観光地を巡ってみてはいかがでしょうか。

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