(ワットパクナムの5階にある仏舎利奉安塔と天井画。ワットパクナム最大の見所)
ワットパクナムは、バンコク旧市街の西側パーシチャルーン地区に位置する寺院です。2014年頃よりSNSにて「写真映えする寺院」として、日本人を中心に観光地としての人気が高まりました。
現在ではバンコク観光における「インスタ映え」の代表スポットとして知られています。
ワットパクナム最大の見所となるのは、緑色のガラスで造られた仏塔と仏塔頭上のドーム型の天井に描かれた仏伝図です。
この仏塔の写真を目当てに、多い時では日本人観光客だけで1日に400〜500人もの人が訪れています。
近年では、日本人観光客のために日本語での寺院解説を記載したパンフレットが現地で配布されています。
(日本語パンフレット。寺院の歴史などが記載されているため、予備知識がなくても楽しめる)
また、千葉県(成田空港近く)にはワットパクナムの日本支院が存在します。
日本との間に縁を感じられるのも、日本人観光客からの人気を集めている理由と言えるでしょう。
今回の記事では
- ワットパクナムの見どころ
- アクセス方法
- 参拝時のマナー
興味がわいた方は、是非訪れてみてはいかがでしょうか。
ワットパクナム(Wat Paknam Phasicharoen / วัดปากน้ำภาษีเจริญ)
(寺院内にあるワットパクナム大仏塔。冒頭写真の仏舎利奉安塔は大仏塔内の5階にある)
ワットパクナム(正式名称:ワットパクナム パシーチャローン・トンブリー/タイ語:วัดปากน้ำภาษีเจริญ)は、アユタヤ王朝時代の1610年に設立されました。
名前にある「パク = ปาก」はタイ語で「口」、「ナム = น้ำ」はタイ語で「河」を意味します。ワットパクナムは運河に側に建てられているため、運河にちなんだ名前が付けられています。
パシーチャローンは、ワットパクナムが位置する地区の名称です。
つまり、ワットパクナム ・パシーチャローンは日本語で「パシーチャローンの運河に建つ寺院」と取れます。シンプルな名前ですね。
ルアンポートゥアットへの信仰を表す場所
ワットパクナムが全国的に有名となった理由には、前僧正(僧侶の中でも最上級の官職)の故・ルアンポートゥアット(1884-1959)による功績が大きかったためとされています。
(故・ルアンポートゥアット)
(ルアンポートゥアットの金製仏像)
故・ルアンポートゥアットは「タンマガーイ瞑想」と言う、これまでにない新たな座禅・瞑想方法であるを説いた人物です。タイ人で知らない人はいない有名な高僧です。
当初は当局からの批判もあったものの、結果的には今日までタイのみならず東南アジア全体にも大きな影響力を与えた人物として認識されています。
寺院内にあるワットパクナム大仏塔は、故・ルアンポートゥアット氏の帰依を表す場所であり、仏教徒の信仰を集める象徴的な場所であるとパンフレットで紹介されています。
ちなみに、タイの各地ではルアンポートゥアットの像が祀られている他、飲食店などでもルアンポートゥアット氏の写真が飾られているのを見かけます。
ルアン・ポーソッド氏が影響力のある人物であることがよくわかる。
ワットパクナム大仏塔
(ワットパクナム大仏塔)
寺院内で一際目立つワットパクナム大仏塔の存在は、ワットパクナム観光のハイライトであり、同時に観光客から人気を博している理由でもあります。
この大仏塔内に、インスタ映えで有名な緑色に輝く仏塔が安置されているからです。
寺院で頂いたパンフレットによれば、この大仏塔は、タイ国王陛下と王妃陛下72歳の記念して2012年に建設されたとのこと。
つい最近の話ですね。2012年以降、大仏塔内に安置されている緑色に輝く仏塔を発見した日本人による口コミで、日本人観光客からの人気が高まっていったと推測できます。
大仏塔の高さは80メートル。
京都・東寺の五重塔(高さ約55m)を凌ぐので、それなりに見た目のインパクトを感じられます。ちなみに、ワット・アルン(高さ約75m)よりも高い。
ワットパクナムの観光
(境内にはワットパクナム大仏塔の場所を記した日本語の地図がある)
ワットパクナム大仏塔の内部には、合計で5つのフロアが存在しています。
以下に寺院で頂いたパンフレットに書いてある各フロアの特徴を記載しています。
- 5階:プッタクナーロム室(仏舎利奉安と仏伝図がある)
- 4階:タンマクナーロム室(ルアンポートゥアット師の金製仏像がある)
- 3階:サンマクナーロム室(博物館)
- 2階:タンクナーロム室(儀式行事、会議、瞑想をする場所)
- 1階:タイ芸術・文化遺産を展示

2階。儀式行事、会議、瞑想をするタンクナーロム室。奥にはプミポン国王の肖像画がある。
3階。仏像などが展示されている博物館。
日本のワットパクナム支院から送られてきた涅槃仏なども展示されています。
4階にはルアンポートゥアット師の金製仏像がある。このフロアはタンブンする場所としても使われています。
5階/ガラス仏塔と仏伝図が美しいプッタクナーロム室
最上階となる5階には、ワットパクナム最大のハイライトである緑色のガラスで造られた仏舎利奉安塔と、塔頭上に仏伝図が描かれています。
ワットパクナムの僧侶によれば、5階は天国を表現しているフロアであり、仏伝図に描かれている絵は天使をイメージしているとのこと。
緑色のガラス仏塔の高さは約8m。
この仏伝図については、「CGのようだ」「プラネタリウムみたい」「神秘的」などの様々な感想を聞きますが、個人的にはサイケデリックの一言に尽きるかと思います。
自分は趣味として1960年代後半頃に流行したサイケデリック・ロックのレコードを集めていた時期があったのですが、上の写真なんてまさにサイケデリック・ロックのレコードのジャケットに使われていそうな雰囲気。
神聖な場所にふさわしいとは思えない派手な配色の組み合わせがそそります。
自分は一度も体験したことはありませんが、うまく瞑想状態に入ると実は心が落ち着くというよりサイケ系のドラッグを使用している時と同じ状態に入ると聞いたことがあります。
失礼ですが、この仏伝図を描いた人は、こうしたことを知っている上で、優れた瞑想状態を誘発させるためにこの配色を選んだのではないのだろうか…そんなことを想像させる場所でした。
台座には多くのナーガが飾られていて、日本人にはない芸術的感覚が至る所で垣間見えます。
本当に美しいです。大きな仏塔ではありませんが、なんだかんだで40分くらいは仏塔の美しさに酔いしれていました。
(5階から見える景色。中々気持ちが良い)
タイ国内で3番目に高い仏像も建設中。ますます面白い場所になる
2021年現在、ワットパクナムの敷地内では高さ69mの巨大仏像が建設中です。完成するとタイで三番目に高い仏像になるとのこと。(ちなみにタイで一番高い仏像はワットムアンの巨大仏像。高さ93m)
コロナが収まり、日本人が自由にタイへ行き来できるようになる頃には完成しているのではないでしょうか。待ち遠しいです。
隣のB級スポット「ワットクンチャン」
ワットパクナムから伸びる橋を渡った対岸には、ワットクンチャン(Wat Khun Chan)という名の変わった寺院があります(上写真)。
仏塔の入り口にトラやオウム、馬の彫刻が並ぶ奇抜な寺院です。
(ワットパクナムからワットクンチャンへは、両寺院の間にかかる橋を渡る)
ワットクンチャンは、奇抜な仏像や彫刻が並んでいるだけで、それ以上でもそれ以下でもない場所だと個人的には思いますが、ワットパクナムに来たならばついでに足を運んでみてはいかがでしょうか。
参拝時の服装
パンフレットには「観光の際は露出度の高い服装を避けること」と記載されていますが、自分は短パンにTシャツで入れました。
院内では靴を脱ぐので、サンダルでの来院も可能です(脱いだ靴やサンダルは備え付けの袋に入れて持ち運ぶ)。
タンクトップやミニスカートなど、よっぽど露出度の高い服装でない限り、服装に気を使う必要はありません。
男性なら、半袖と長ズボンであれば絶対に問題ないです。女性は、Tシャツにロングスカート、あるいはタイパンツや七部丈パンツなどで問題ありません。
万が一露出度の高い服装で来院した場合は、ズボンや上着代わりに羽織を貸してもらえます。
ワットパクナムの行き方
ワットパクナムへの行くには、以下3つの方法があります。
- 自力で行く(寺院最寄りのBTSもしくはMRTで降り、公共交通機関を利用する)
- タクシーを利用する
- ツアーを利用する
自力で行く(MRTもしくはBTSを利用する)
最も簡単な行き方は、ワットパクナム最寄りのMRTバンパイ(Bang Phai)もしくはタラートプルー(Talat Phlu)から、バイクタクシーやソンテウを利用することです。
(ピンク色の四角で囲んでいる駅がMRTバンパイとBTSタラートプルー)
現在地から近い駅を利用すると良いです。
各駅からワットパクナムへの距離は徒歩10〜20分程度。
各駅を降りた場所からモタサイ(バイクタクシー)もしくはソンテウも利用できます。
以下で各駅からのアクセス方法について詳しく解説します。
最寄りMRTバンパイ(Bang Phai)からモタサイあるいは徒歩
以下は、MRTバンパイからワットパクナムへの道のりを記したGoogleMap
MRTバンパイからワットパクナムまではモタサイを利用できます。
徒歩でもアクセスできますが、約10分かかります。たかが10分と言えど、日中の暑いバンコクを10分も歩くと思ったより汗をかくでしょう。
また、道中では野良犬をたまに見かけます。よってモタサイ利用がベスト。
モタサイ乗り場は以下の場所にあります。
まず、MRTバンパイ(Bang Phai)の1番出口を降ります。
(MRTバンパイの1番出口。ワットパクナムの大仏が見える)
1番出口を降りたら、約150m直進します。
直進すると、右手に「ペットカセーム ソイ19(Phet Kasem Soi19)」の看板が見えます。
ペットカセーム ソイ19(Phet Kasem Soi19)の看板。
ペットカセーム ソイ19に入ると、目の前に待機しているモタサイがいます。
ドライバーには「ワットパクナム」と伝えるだけで理解してくれます。
モタサイは、ワットパクナム手前に架かる橋まで乗せてくれます。
降車場所から目の前に架かる橋を渡れば、ワットパクナムへ行けます。
BTS タラートプルーからソンテウを利用する
まず、BTSタラートプルー(Talat Phlu)の2番出口を降ります。
2番出口を降りると、ワットパクナム行きの赤色ソンテウがきます。
ソンテウの運転手にワットパクナムへ行くかを確認してから乗りましょう。
ワットパクナムまでのソンテウ運賃は7バーツです。
タクシーでアクセスする(グラブがおすすめ)
BTS・MRTを利用せず、手っ取り早くタクシーでアクセスすることも可能です。
ただ、タクシードライバーには「ワットパクナム」と言って伝わらなかった場合は、ワットパクナムのタイ語表記「วัดปากน้ำภาษีเจริญ」と、以下ワットパクナムの住所を見せてみましょう。
ワットパクナムの住所
- タイ語 =300 ซอย รัชมงคลประสาธน์ แขวง ปากคลองภาษีเจริญ เขตภาษีเจริญ กรุงเทพมหานคร 10160
- 英語 = Soi Pak Nam, Thoet Thai Road | Pak Khlong Phasi Charoen, Phasi Charoen, Bangkok 10160
ただし、それでもバンコク中心街を走るドライバーには伝わらない可能性もあります。
確実に簡単にタクシーでアクセスするなら、グラブを利用するのもおすすめです。
グラブであれば、GoogleMap使用の地図で指定した場所へ行くため、ドライバーに住所等を説明する必要がありません。
(例えばBTSアソークからワットパクナムまでの運賃目安は170バーツ。MRTシーロム周辺であれば140バーツ前後)
中心街のアソーク(Asok)からたったの170バーツであれば、十分安いです。
また、グラブは予約前に料金が表示される明朗会計です。乗車拒否もありません。
手っ取り早くアクセスするならグラブがおすすめ。
グラブの登録・利用方法については、以下の記事を参考にどうぞ。

ツアーを利用する
海外旅行に慣れていない人、あるいは滞在日数が少なくて効率良く観光地を回りたい人はツアーを利用するのも良いです。
ツアーなら送迎バンでの移動となるため、自力で回るのは難しい場所も一緒に回れます。
送迎 + 日本語ガイド付きのツアーを利用するのがおすすめです。
ワットパクナムは観光にそれほど所要時間がかからないため、基本的には他の観光地と合わせて回るプラン内容になっています。
通常、各観光地は離れているため、通常は1日で全てを周るのは難しいです。
そのため、タイ滞在が3泊や4泊などの短い人は、ツアーを利用した方が効率良く観光地を回れます。
具体的なツアー商品は以下のとおり。
催行会社への問い合わせや緊急の連絡も日本語で可能なので、何から何まで安心と言えるでしょう。
(予約後は上写真のバウチャーがメールアドレスに届きます。バウチャーをプリントアウトするかスマホに保存して持参しましょう)
ワットパクナムの拝観時間
- 毎日8:00〜18:00
- 休館日:なし
- 午後からは多くの日本人観光客が拝観します。人が映っていない写真を撮りたい人は、出来るだけ早い時間に行くのがベター
- 公式Facebook
拝観料金
無料
マナーに気をつけて参拝したい
(ワットパクナムにある日本語の注意書き。以前はなかった)
ワットパクナムの仏塔は、そのプラネタリウムのような美しい見た目が話題となり、日本人を中心にインスタ映えスポットとして知られています。
実際にインスタで検索すると、仏舎利奉安塔と仏伝図の前で様々なポーズをキメている投稿がいくつも見つかります。
しかし、ワットパクナムはタイでは足を向けて寝られないほど格式の高い寺院です。
インスタ映えするのは確かですが、敬意を払って拝観するべきでしょう。
最近ではインスタ映えを狙ってジャンプ姿を撮影したり、うるさい日本人が増えてきたため、ワットパクナムに訪れるタイ人達の中には苛立ちを覚えている人もいるとのこと。
問題は最上階の5階。カメラ映りを気にするあまり、マナーの悪い日本人だらけだという。
寺院名でインスタ検索すると、確かにおバカ写真がチラホラ。しかも顔出し。「私がマナーの悪い日本人です」と言ってるようなものだ。
日本でも、神聖な場にそぐわない言動の外国人旅行者を見かけたら、良い気分はしないはず。
ワットパクナムは神聖な場所なので、静かに拝観することを心がけたいです。
特に仏塔に足の裏を向けたり、仏塔の前でヨガをしてポーズを決めるのは遠慮して頂きたいとのこと。
今後も多くの日本人が安心して観光できるよう、ワットパクナムではマナーを守って行動したいですね。
↑ワットパクナムでマナーを守らない旅行者について、ワットパクナムの僧侶にインタビューしている動画。
その他、バンコクで必ず行きたいおすすめ観光地については、以下の記事を参考にどうぞ。

ワットパクナム含め、バンコクのインスタ映えスポットのまとめについては、以下の記事を参考にどうぞ。
