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(メークロン号の正面)
タイ国内には、戦時中における日本との関係性を深く理解できる観光地やマスメディアがいくつか存在しています。
例えば、カンチャナブリーという都市では戦場にかける橋(泰緬鉄道)という、日本軍がタイ進駐期間にタイからビルマへの物資輸送を目的として敷設した鉄道があります。
また、映画「クーカム」は日本駐留時のタイを舞台とした、日本軍兵士「コボリ(小堀)」とタイ人女性の恋愛を描いているタイの大人気映画です。
(映画「クーカム」予告編)
日本の戦争史では、西洋史や中国史がクローズアップされることが多いため、こういった日本が東南アジア諸国への影響を与えた歴史を読み取れる観光地やメディアは非常に興味深いです。
日本の戦争史に対して新たな視点を持つきっかけになったり、深い感銘を受けることもあるでしょう。
今回の記事で紹介する「メークロン号」は、日本がタイから発注を受けて戦前に供与した軍艦です。
メークロン号は、バンコクから南に約30km離れたサムットプラカーン県内の「プラジュンジョムクラオ要塞」という海軍施設内にて見学することができます。
一般に無料公開されており、外観だけではなく艦内も自由に見学したり、設備に触れることもできます。
(操舵室。ハンドルを回したり操作盤に触ってもいい)
メークロン号がある「プラジュンジョムクラオ要塞」は、アクセス方法が少々難儀ではありますが(バンコク中心部から片道1時間くらい)、日本人なら行ってみる価値が十分にあります。
今回の記事では、メークロン号の様子やバンコクからプラジュンジョムクラオ要塞への行き方を記載しているので、興味があれば是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
個人的には、もしアクセス方法さえ簡単だったら、バンコク観光地において上位に入る人気スポットになっていたと思うほどインパクトを受けました。
メークロン号があるプラジュンジョムクラオ要塞(Phra Chulachomklao Fort)
(要塞の敷地内にあるラーマ5世の記念碑)
プラジュンジョムクラオ要塞(英語:Phra Chulachomklao Fort /タイ語:ป้อมพระจุลจอมเกล้า)は、バンコクから約30km南に位置するサムットプラカーン県に位置する海軍施設であり、一般公開されている公園でもあります。
要塞の建設は、ラーマ5世が在位中の1884年に開始され1893年に完成しました。
プラジュンジョムクラオ要塞が建設された理由は、当時こぞって東南アジア諸国を植民地化していたイギリスやフランスの侵略を阻止するためです。
(要塞内には敵国の侵入を防ぐために使用されていたアームストロング砲が展示されてある)
ただ、当時のタイ海軍にはそれほどの防衛力がなかったため、フランスに領土(現在のカンボジア内の都市「シェムリアップ」「シソポン」「バッタンバン」やラオス。当時はタイの領土だった)を奪われました。
しかし、結果として中心部を守ることには成功して、現在のタイ領土範囲を確定しました。
当時、タイ国の王として即位していたのはラーマ5世であり、現在までタイが植民地化されることなく領土を守れた背景には、ラーマ5世がこうした要塞建設などの軍事改革に力を入れたおかげと言われています。
そのため、要塞の敷地内に建てられているラーマ5世の記念碑には、数多くのタイ人が参拝に訪れています。
メークロン号
メークロン号は、タイが湾岸の警備用として1937年に横須賀市浦賀地区の浦賀造船所(2003年閉鎖)に発注した軍艦(海防艦)です。全長85m、幅10m、乗員数52人。戦闘艦としてはもっとも小さな部類に入ります。
1937年に建造されて以来、第二次世界大戦中も使用され1996年まで現役で使用されました。
メークロン号は一般公開されているため、自由に艦内を見学できます。また、設備などに触ることもできるため、当時の日本の最先端技術を肌で感じることができます。
(要塞の敷地内に入ると、遠目からでも存在をすぐに確認できるくらい目立っている)
メークロン号への乗り口。
船内の階段は急な作りになっています。
内部構造は想像していたよりも広々していて、会議室や休憩室、トイレやキッチンなども外見から想像したよりしっかり造られていました。
(トイレ)
(部屋数も多い。さすが乗員数52人の軍艦である)
前甲板に配置されている主砲。近くで見ると凄い迫力。
後甲板に配置されている20ミリ機関砲。現地の子供達が座って打つ真似をして遊んでいました。
(上写真)船体上部の羅針盤と(下写真)操舵室の舵。船体の中で最も格好良さを感じる場所です。
思わず舵を握って船を操縦している所を想像してしまいます。
艦内には売店もあります。海軍にちなんだキーホルダーや、何故か全く関係ないキャラクターのキーホルダーなども売られていました。
メークロン号の内部は思ったよりも部屋数が多く、くまなく見学して30分くらいは船体にいました。
結構子供連れで見学に来ている人も多く、子供は子供で艦内で鬼ごっこをしたり主砲を打つ真似をしたりして楽しそうだったので家族連れで見学に来ても良いかと思います。
こういった軍艦の内部をじっくり見学したり設備に触れられる場所は普通は存在しないですし、やはり日本で造られたということだけあって感銘を覚えました。
また、戦時中はこんな軍艦が戦争に使われていたと思うと、同時に戦争の恐ろしさも感じます。
こういった軍艦が実際に使用されることのない世の中を目指したい限りです。
海軍が経営するシーフードレストランもある
メークロン号の横には海軍が経営しているシーフードレストランがあります。メニューはタイ語のみですが、写真付きなので指差し注文で問題ないです。
このレストランは店員が海軍にちなんでセーラー服を着ていたりと、中々雰囲気が出ています。
観光後にお腹が減ったら是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
バンコクからメークロン号があるプラジュンジョムクラオ要塞への行き方
バンコクからメークロン号があるプラジュンジョムクラオ要塞へ行くには、以下2つの方法があります。
- BTS・バス・ソンテウを乗り継いでアクセスする
- タクシーでアクセスする
タクシーで行く
手っ取り早いのはタクシーでのアクセスです。
バンコク市内からプラジュンジョムクラオ要塞までの距離は約30kmで、所要時間は1時間ほどです。
タクシーの料金は200バーツ〜250バーツ程度なので、バックパッカーなどの節約旅行者でないならタクシーでアクセスするのが無難かと思います。
タクシーを利用する際、運転手に「プラジュンジョムクラオ」と言っても通じない場合が多いので、タイ語表記「ป้อมพระจุลจอมเกล้า」を見せる方が早いです。
ちなみに、プラジュンジョムクラオ要塞にはタクシーが通らないので、帰りのためにタクシードライバーに観光が終わるまで駐車場で待っててもらうよう交渉した方が良いです。
チャーターするイメージですね。
チャーターしても往復500バーツ程度なので、大した金額ではありません。
もしくは簡単にグラブタクシー(使い方)を利用してアクセスするのも良いでしょう。
BTS・バス・ソンテウを乗り継いでアクセスする
タイに慣れている人や、バックパッカーなどの節約旅行者はBTSとバスとソンテウを乗り継いでアクセスする方法をおすすめします。
アクセス方法の順序は以下の通りです。
- BTS ウォンウィエン・ヤイ(Wongwian Yai)へ行く
- BTS 近くのバス乗り場から20番のエアコンバスに乗る
- 20番エアコンバス終点のプラサムット チェディー(Phra Samut Chedi)でソンテウに乗る
まず、BTSウォンウィエン・ヤイ(Wongwian Yai)の2番出口方向を目指します。
2番出口方向へ行くと「Taksin Intersection」という通路が見えるので、ここを直進します。
Taksin intersectionを300mほど直進して、左手に見える「To Dao Khanong」と書かれた降り口を降ります。
駅を降りて目の前に見える「Somdet Phra Chao Taksin Rd」という大通りを左折します。
左折して170mほど直進すると、陸橋のふもとにバス停があります。
バス停。陸橋の目の前にある。
↓バス停の位置
20番のエアコンバスに乗る
バス停に20番のバスが到着したら乗り込みます。ここで注意しておきたいのは必ずエアコンバスに乗ることです。
このバス停からはエアコン無しの20番バスにも乗れますが、エアコン無しの20番バスはルートが違うのか目的地まで行きませんでした。
(上はエアコン無しの20番バス。下がエアコン付きの20番バス)
エアコン付きの20番バスが到着したら、終点のプラサムット チェディー(Phra Samut Chedi)まで行きます。バスの料金は19バーツです(2024年1月現在)。
終点のプラサムット・チェディーまでの所要時間は40分程度です。
(プラサムット・チェディー)
プラジュンジョムクラオ行きのソンテウに乗る
プラサムット・チェディーに到着したら、チェディー敷地外のセブンイレブン近くにあるソンテウ乗り場にてプラジュンジョムクラオ行きのソンテウに乗ります。
ソンテウ乗り場。青ボディが目印。
ソンテウ乗り場にはプラジュンジョムクラオ行き以外のソンテウも停留しているので、運転手にタイ語表記「ป้อมพระจุลจอมเกล้า」を見せてプラジュンジョムクラオに行くかを確認してから乗りましょう。
ソンテウの料金は8バーツです(2024年1月現在)。
プラジュンジョムクラオのソンテウ所要時間は25分程度です。
(プラジュンジョムクラオ要塞の入り口。海軍施設なので入り口に軍人がいる)
帰り方
プラジュンジョムクラオ要塞からBTS ウォンウィエンヤイに帰るには、行きの方法とは真逆です。
まず、プラジュンジョムクラオ要塞にて、プラサムット・チェディー行きのソンテウに乗ります。
プラサムット・チェディー行きのソンテウは、降りた場所と同じ場所に来ます。
時刻表があるのかは不明ですが、自分が帰った時は12時→13時→14時と1時間おきに周回していると言っていました。
(プラサムットチェディー行きのソンテウ)
ソンテウの料金は行きと同じく8バーツです。
プラサムット・チェディーに到着したら、行きのソンテウ乗り場付近にてバスが停留しています。
帰りも20番のエアコンバスに乗りましょう。BTS ウォンウィエンヤイに行きます。
(ソンテウ乗り場の先で停留している20番エアコン付きバス)
プラジュンジョムクラオ要塞の開放時間
- 開放時間 / 毎日07:00〜19:00まで
- 入場料 / 無料
- 公式Facebook
バンコクから行けるマイナー観光地
今回紹介したメークロン号はマイナーな観光地ですが、日本との関わりがある軍艦を見られるので、個人的にバンコクリピーターにはおすすめです。
マイナーながらもインパクトがあります。
タイには所々で本記事で紹介したような日本との関わりや歴史を垣間見れる場面があります。
『タイ人の親日度。日本人旅行者の僕が感じた好感の眼差し。』に記載したように、親日的なタイ人が多い理由は、決して悪いことばかりではない友好関係を昔から築いてきたからなのかもしれません。
こういった観光地はタイのことをもっと好きになれるし、日本のことをもっと誇りに思えるようになります。
是非、日本とタイの歴史に興味がある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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その他、ガイドブックや公式観光情報では取り上げられることのないマイナー観光地を知りたい方は、以下の記事を参考にどうぞ。
日本とタイの戦時中の関係をもっと深く知りたい人は、こちらもおすすめ。カンチャナブリーの戦場にかける橋。
バンコク観光の完全ガイド。初めての旅行で行きたいおすすめスポットをまとめました。
バンコクから日帰りで行けるおすすめスポットのまとめ。見応えのある観光地を紹介しています。
この記事を参考に2017年12月にメークロンを見てきました。記事のとおりにBTS駅から20番バス、ソンテウと乗り場に迷うこともなくたどり着くことができました。ありがとうございました。各料金も変化なしです。なお、ソンテウ所要10分はちょっと無理で、往復とも25分でした。また、帰りのソンテウは終点のひとつ手前で下車できれば、20番バス停の向かい側に降りることができ、便利です。
以下、蛇足。この船がフリゲートとスループのどちらに分類されるのかわかりませんが、いずれにしろ駆逐艦より小さな艦艇です。艦尾に海軍旗を掲揚していますので、見学の際は儀礼上、乗下艦前に脱帽して一礼することをお勧めします。
>>>おやじツーリストジャパン様
ソンテウ所要時間ですが、確かにGoogle Mapでルートを調べたら20分ほどで表示されました。10分と記載していたのは、自分の勘違いだったと思います。ソンテウ所要時間は修正しておきました。コメントありがとうございます。
見学の際の儀礼は、今後この記事を見て訪問される方の参考になるかと思います。重ねてありがとうございます。
2013年にタクシーで行ってきました。
かなり大事にされてきた様子がとても伝わってきました。
ラッタルから乗艦するときにタイの海軍士官の方々とすれ違い、皆さまにこやかに会釈をされたのがとても印象的でした。
さて、不躾ですが記事の中の表現が一部不適切な点がどうしても看過できませんので、以下ご参考いただければ幸いです。
まず「戦艦」と書かれておりますが、違います。
おそらく軍艦という意味合いで使っておられるのかと思いますが、この艦種は海防艦といって、戦闘艦としてはもっとも小さな部類に属します。
「全長85メートル 収容人数(?)52人」という表現は、いかにこの艦が小さいかということがわかる数字です。
特に乗員数52人というのは大変な少人数で、メクロン号は大きさの割に各種武装が多いため、たったこれだけの人数で運用されてきたのがかえって驚きです。
「後甲板に配置されている主砲」は、主砲ではありません。
主砲とはその艦に搭載されている最も大きな砲を指します。
これは20ミリ機関砲で、飛行機や小目標などに対し使われるものです。
「船内 船体内」
この船は軍艦ですので、「艦内」と表現するのが一般的です
>>>元駐在員さん
はじめまして。「戦艦 軍艦」「艦内」等の意味を自分でも調べてみて違いに気づくことができました。参考になりました。詳しく教えて頂きありがとうございます。