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シェムリアップは、カンボジアの首都プノンペンから北西へ約320km離れた場所にある州です。
世界的に有名なカンボジア世界遺産「アンコールワット(アンコール遺跡公園)」観光の拠点都市として発展しています。
シェムリアップから北へ約6kmの場所にはアンコール遺跡公園、南へ約16kmの場所にはトンレサップ湖があり、町から日帰りで行ける範囲の郊外や山地にも遺跡が点在しています。
これらカンボジア北西部の主要観光地へは、全てシェムリアップを拠点に観光するのが一般的です。
また、シェムリアップ自体にも観光客向けのナイトマーケットなどの見所もあります。
シェムリアップ自体は小さな町ですが、滞在中の行動は広範囲にわたるため、「どこ」に「何が」あるのかを、ある程度知っておけば効率良く観光できるでしょう。
そこで今回の記事では、シェムリアップ旅行を予定している人に向けて
- 郊外や山地も含めた全体の地図
- シェムリアップ市街の地図と見所
- アンコールワット遺跡群の回り方
- 市街近郊の観光地
- 郊外や山地の主要遺跡
といった、シェムリアップ滞在において欠かせない旅行情報を記載していきます。
郊外や山地も含めた全体の地図
シェムリアップを拠点として回れる観光地は、上地図にて色分け記載している3エリアに分けられます。
- MAP上黒色のエリア…シェムリアップ市街周辺とアンコールワット遺跡群
- MAP上紫色のエリア…近郊の観光地(市街から30分〜2時間程度)
- MAP上茶色のエリア…郊外・山地にある観光地(市街から2時間30分〜5時間)
シェムリアップの観光地は、後述する市街周辺とトンレサップ湖を除いては、全て遺跡です。
上地図に記載している通り、遠方の遺跡になるとシェムリアップ市街からのアクセスには、片道5時間近くかかる遺跡も存在します。
1回の旅行で全ての遺跡を回るのは難しいです。
また、全て同一の文化遺跡だけあって、素人目線から言わせてもらうと、どの遺跡も見た目が似ています。
遺跡に対して強い関心を抱いている人でないと、「どれも一緒じゃん」という感想を持つこともあるでしょう。
アンコールワット遺跡群だけでも数十の遺跡が点在しています。
そのため、アンコールワット遺跡群とトンレサップ湖観光にプラスして、その他郊外や近郊の遺跡は数ヶ所に絞って回る人が多いです。
シェムリアップ市街の観光地図
- 左上の 地図上の全項目をリスト表示します。
- でお気に入り登録、 で各SNSやメールで共有できます。
- 右上ので拡大地図を表示します。
- MAP上の茶色と緑色の¥マークはレートの良い両替所です⇒『シェムリアップでレートの良い両替所3軒を紹介。街中でドル両替するならここ。』
観光の拠点となる市街地はコンパクトです。半日もあれば全て見て回れる規模。
この小さい範囲内に観光客向けのホテルやレストラン、マッサージやマーケットが全て凝縮されています。
シェムリアップ空港は、市街から西に約8kmの場所に位置しています。空港⇔市街へのトゥクトゥク料金は5ドル〜9ドルです。
空港ではトゥクトゥクを含めたエアポートタクシーが24時間運行しているので、深夜到着予定の方であっても空港周辺に留まることなくシェムリアップ市街へ向かいましょう。
シェムリアップ空港から市街へのアクセス方法詳細については、以下の記事を参考にどうぞ。
シェムリアップ市街には、他都市へ行く公共交通機関のチケットを購入できるツアー会社も多いです。
こうしたツアー会社では、飛行機チケットやホテルピックアップ付きのバスを予約できます。そのため、他都市へ行く交通機関のチケットは、バスターミナル窓口やインターネットでの予約は不要です。
シェムリアップ⇒バンコクへのバスは26USドル前後。プノンペン行きのバスは8USドル前後など。
ツアー会社であれば、その場で乗るバスの写真を見せてもらえるので安心感があります。複数都市を周遊する予定のバックパッカーなどは、ツアー会社を利用すると良いでしょう。
<紺色の場所>バブストリート(Pub Street)
シェムリアップ随一の繁華街。シェムリアップにおけるナイトライフのメインはパブストリートです。
パブストリートは縦270m × 横100m程度の小さなエリアですが、観光客向けのレストランやバーが多くて賑やか。
夕方17時からは一部歩行者天国になり、世界各国の観光客が集まります。
(欧米人が好むテラス席付きのレストランが多い。所々にアンコール遺跡のオブジェがあるのが面白い)
大麻入りのピザが売られていることで有名になった『ハッピーピザ』もパブストリート近くに位置しています。
パブストリートを楽しむコツは、メインとなる大通りに並行して伸びる細い通りにも足を踏み入れてみることです。
特に面白いのが、「裏パブストリート」とも呼ばれる細い通り「ザ・パッセージ」
狭い路地の中に洒落たレストランや雑貨を揃えるマーケットが併設されています。
パブストリートのメインは大音量の音楽がかかるバーもあってうるさいですが、ザ・パッセージの中は静か。
パブストリートのレストランにはクメール料理(カンボジア料理)をはじめ、日本食、洋食、中華など何でもござれなので、食べる物に困りません。
近くにはポリスステーションもあるため、繁華街とはいえ身の危険を感じることはありません。
深夜0時くらいまでは女性でも歩き回って大丈夫です。ちなみに、昼間は閑散としています。
<赤色の場所>オールドマーケット(Old Market)
パブストリート南東の一角にて広がる大きめのマーケット。
外側には観光客用の土産物屋が並んでいますが、中に入ってみると地元民御用達の市場になっています。
香辛料や発酵食品独特の鼻をつく匂いが充満していて、東南アジアらしい風景を垣間見えます。
調味料やカンボジアのインスタントコーヒー、日本人が経営するカンボジアスナックの店などもあるため、食品系のお土産を買うならオールドマーケットが良いです。
⇒日本人経営のカンボジアスナックの店「カンボジア・ティー・タイム」(日本語が通じるスタッフが試食させてくれる。売られているお菓子は絶品なのでおすすめ)
オールドマーケット周辺には、地元民向けの安い食堂もあります。バックパッカーの食事場所にも丁度良いです。
(食堂には1品1ドル以下のメニューもある)
<青色のカートマーク>大型スーパーマーケット(ラッキーモールとアジアスーパーマーケット)
シェムリアップ市街にある2軒の大型スーパー。生活用品をはじめ、衣類、下着、文房具、カンボジアの飲み物やお菓子など売られていて何かと便利。
市内散策中の休憩に立ち寄ったり、バラマキ用のお土産を探すのにも最適です。
(日本のスーパーと変わらない品揃えなので、生活用品を忘れたり失くした時は助かる)
(カンボジアのアンコールビールの他、お隣タイのリオビールなどもある。ビール1本0.6ドル〜0.7ドル)
その他、モール内には地元カンボジア人向けのフードコートや観光客向けのファーストフード、ファッション店などもあります。
全体的に市場やコンビニで揃えるより0.1ドル〜物によっては0.5ドルほど高い印象ですが、ここだけで何でも揃うので便利です。
営業時間
- ラッキーモール 毎日9:00〜22:00
- アジアスーパーマーケット 毎日8:00〜24:00
<黒丸❶〜❸>各ナイトマーケット
シェムリアップ市街には歩いて行ける近い範囲内にて、複数のナイトマーケットが開催されています。
いずれも売られている物や雰囲気に代わり映えはありません。扱っている物は雑貨、貴金属、シルク、衣料品、手工芸品、民芸品がメインです。
各ナイトマーケットには数百軒の店舗が連なっています。
いずれのマーケットも通路が広々して見やすい上に、マッサージ店も複数併設されています。市街散策中に立ち寄りたい。
(ざっくばらんに物が積まれた店が多い)
客引きが盛んなので、気になった物を手にとって見ると、すぐに声をかけられます。
シェムリアップ・アートセンター・ナイトマーケット(Siem Reap Art Center Night Market)
オールドマーケットから東南側へ、川を挟んだ対岸にあるナイトマーケット。
ナイトマーケットとは名付けられていますが、実際には夕方から営業しています。中華系の観光客が多い。
16:00〜23:00
ヌーン・ナイトマーケット(Noon Night Market)
100軒以上のお土産屋が並ぶマーケット。お店の他にレストランやタトゥーショップなどもあって賑やか。遊びながら散策できるナイトマーケットです。
このナイトマーケットでの利益の10%は、「Happy Family Orphanage」というカンボジアの孤児を支援する慈善団体に寄付されています。
毎日12:00〜24:00
アンコール・ナイトマーケット(Angkor Night Market)
約240軒もの店舗が連なる大規模なナイトマーケット。お土産屋の他にアイランドバーという茅葺屋根のお洒落なバーがあったり、他のマーケットでは見ないお洒落なブティックショップもあります。
包括的に南国雰囲気を満喫できるおすすめのナイトマーケット。
毎日17:00〜24:00
<紺色の星マーク>カンボジア サーカスファー(Cambodia Circus Phare)
シェムリアップで毎日17:00から開催されている1時間程度のサーカスショー。
チケット料金は席によって異なりますが、大人1人45USドル程度。
カンボジアとサーカスという組み合わせにピンと来ない方も多いでしょう。しかし、侮ることなかれ。
カンボジア サーカスファーは、シェムリアップ旅行のハイライトになり得るくらい、エンターテイメント性が凝縮されていて面白いです。
“プチ”シルクドソレイユといった雰囲気で、社会性を持たせたテーマ(例えばカンボジア人と外国人の文化の違いなど)に沿ってストーリーが進んでいきます。
動物は出て来ないので、ハラハラドキドキなパフォーマンスはありません。
しかし、劇団員のアクロ爆ティックな技と、ファンク風の渋いカンボジア音楽、時折見せるコメディ要素のバランスが素晴らしいです。
1時間のショー中、ダレることは一回も無いです。テンポ良くストーリーが進んで行きます。
収容人数300人程度の小ぶりなテントの中で、観客に近い距離でパフォーマンスが行われるので臨場感あり。
遺跡とは異なる、人間業の魅力を感じたい人は是非見てみましょう。
カンボジア サーカスファーのショー内容や歴史について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にどうぞ。
市街には日本食レストランもある
(ワット・ボー通りにある日本食レストラン「THE HASHI」
MAP上水色の丼マーク)
シェムリアップには在住する日本人も利用する日本食レストランや居酒屋も多いです。
料金は日本で食べるのと変わりないため、クメール料理を食べるより高くつきますが、外国の料理が合わない人でも安心。
寿司や牛丼、ラーメンなど、定番の日本食は一通り食べられます。
寿司の盛り合わせ。14貫で18USドル。味は日本で食べる寿司そのもの。
海外の料理は受け付けない!日本食が食べたいという方は、以下のシェムリアップ市街にあるおすすめ日本食レストランの記事を参考にどうぞ。
アンコールワット遺跡群
シェムリアップ観光のハイライトになるアンコールワット遺跡は、シェムリアップから北へ約6kmの「アンコール遺跡公園」という保護区内に位置しています。
シェムリアップには公共のバスや電車が走っていないため、市街⇔アンコール遺跡公園へは以下3つの交通手段いずれかを利用するのが一般的です。
- 街中にいるトゥクトゥクないしはバイクタクシーをチャーター
- 自転車をレンタルして自力で行く
- ツアーを利用する
(カンボジアのトゥクトゥク)
アンコール遺跡公園内にはアンコールワットだけでなく、「タ・プローム」や「バイヨン」といった有名遺跡も点在しています。
(植物の侵食が激しい遺跡タ・プローム。アンコール遺跡群の中では人気スポット)
(四面像で有名なバイヨン。こちらも人気遺跡の一つ)
アンコール遺跡公園の中に点在する遺跡の数は非常に多いため、1回の旅行で全ての遺跡を見て回るのは難しいでしょう。
ただ、見所とされている人気の遺跡は限られています。
自分を含め、多くの旅行者が「どの遺跡も似ているのでインパクトのある遺跡だけに絞って観光すべき」という感想を持っているため、初めて行く人は鉄板の有名遺跡だけに絞って回るのがベターです。
遺跡見学チケットの購入場所や、見所ある遺跡だけに絞った王道ルートは以下の記事にて詳しく記載しています。
アンコールワット観光前に参考にして頂ければと思います。
アンコールワット朝日見学の詳細や、各交通手段の金額相場、日本語ガイド付きツアーについても詳しく記載しています。
市街近郊には遺跡以外の見どころもある
シェムリアップ市街より片道30分〜2時間でアクセスできる近郊にも、遺跡をはじめとした複数の見所が点在します。
近郊の観光地で最も人気なのが、水上村が形成されているトンレサップ湖をクルーズするツアー。
遺跡ばかりで早々にお腹いっぱいになりがちなシェムリアップ観光において、程よいアクセントになります。
その他にも『地雷を踏んだらサヨウナラ』で知られる一ノ瀬泰造の墓や地雷博物館など、カンボジアの歴史を知る上で欠かすことのできない現実を垣間見える場所もあります。
トンレサップ湖
面積2,500〜3,000キロ平方メートルの巨大な湖。お隣タイ・バンコクよりも巨大なこの湖には、複数の漁村が形成されています。
トンレサップ湖の漁村は水上にて形成されていて、観光客はボートをクルーズして漁村を見学できます。
水上には小学校や教会、スーパーなども浮かんでいて、文字通り「水上村」の生活を垣間見ることができます。
興味深い光景。
雨季になると一気に水位が上がることに備えて、水上村には”超”高床式の家屋が建てられています。
トンレサップ湖のボートツアーは1隻のチャーターで30USドル。クルーズ時間は約1時間です。
日本ではありえない珍しい光景なので、シェムリアップ観光時には絶対にスケジュールに組み込むのがおすすめ。
トンレサップ湖への詳しいアクセス方法や、注意点、ボートクルーズの内容については、以下の記事を参考にどうぞ。
一ノ瀬泰造の墓
1973年、当時ベトナム戦争が飛び火して、ポル・ポト率いるクメール・ルージュとカンボジア政府軍の内戦が激化していたシェムリアップに乗り込んだ戦場カメラマン、一ノ瀬泰造氏の墓。
一ノ瀬泰造氏は内戦中のカンボジアにて、クメール・ルージュに捕えられ処刑されます。
氏は多くの地元カンボジア人と親交があったため、氏の遺体が発見されたプラダック村(シェムリアップ市街から約20km。片道40分程度)に地元カンボジア人がお墓を建てました。
氏の遺骨は既に親族の方が回収しているため、このお墓に氏が眠っているわけではありませんが、現在でも多くの日本人が訪れお供えをしています。
(お供え用の線香や氏の功績を讃える記事の切り抜きもある)
恐縮ながら自分も線香の他にビールもお供えしました。ジャンルこそ全く異なりますが、年中海外を歩き回っている自分は、一ノ瀬泰造氏の志に共感できる部分も多いです。
また、お墓へ行く前に氏がカンボジア滞在中に書き綴った日記と、両親や友達に送った手紙をまとめた書籍『地雷を踏んだらサヨウナラ』を読んでいたので、人間的に好感も持てました。
戦場カメラマンとは言え、素顔は20代の男性。
この書籍には、戦時中のシェムリアップの様子や、きっと氏が生きていたら「読むな!」と言うであろう友人に宛てた手紙(隣国タイで女を買ったとか)が、氏の表現力あるユーモラスな文章で書かれています。
氏のお墓へ訪れる前に一読しておきたい本です。
一ノ瀬泰造の墓への行き方
氏のお墓は日本人以外が訪れることは滅多にありませんが、行く人が多いためかGoogle Mapにて「一ノ瀬泰造の墓」と表示されています。
シェムリアップ市街からの距離は約20km。トゥクトゥクでの所要時間は約40分です。
ただ、日本人以外で行く人が少ないため、トゥクトゥクドライバーの中には場所を分からない人が多いです。
自分は5人のドライバーにお墓の写真を見ながら説明しましたが、場所を知っている人は一人もいませんでした。最終的には、自分がGoogle mapを見てナビをしながらトゥクトゥクで行きました。
そのため、バイクをレンタルして自力で行く人以外は、ツアーに参加する方が確実です。
>>>一ノ瀬泰造の墓 + キリングフィールド + 地雷博物館【日本語ガイド + ホテル送迎付き】
ツアーであれば日本語ガイド同行のもと、以下で紹介する地雷博物館やキリングフィールドも1日で回れます。
ホテルへの送迎もあるので、海外旅行に慣れていない人でも安心でしょう。
一ノ瀬泰造の墓は観光地でないため、周辺は人気が少なくて外国人はいません。特に女子一人旅や高齢者がいる場合はツアーを利用するのが無難です。
地雷博物館(Cambodia Landmine Museum)
元クメール・ルージュ兵士、地雷撤去作業に定評があったことから、内戦後はカンボジア各地にて今も撤去作業を続けるアキラ氏が建てた博物館。
展示されている地雷及び戦争兵器は全て実際に使われてた物です(もちろん安全処理済み)。
博物館内には、地雷や戦闘兵器の他、地雷被害に遭った人がつける義足なども展示されています。
実際、シェムリアップ観光中に上写真のような義足を付けているカンボジア人に会うことは珍しくありません。
カンボジア国内にて、どれほど地雷問題が深刻かつ多くの被害を出しているのかが身にしみて分かります。
ちなみに、アキラ氏は日本名ですが、日本人ではありません。カンボジア人です。
元々、アキラ氏は日本人観光客相手にガイドをしていて日本語が上手だったことから、日本人ジャーナリストがアキラという名前をつけたとのこと。
地雷博物館の詳細については、以下の公式ホームページ(日本語サイト)も参考にどうぞ。
地雷博物館は、シェムリアップ市街より北東に約30km離れた場所にあります。
トゥクトゥクの往復チャーター料金は20USドル前後。上で紹介した一ノ瀬泰造の墓からは15分ほどの距離。
- 開放時間 7:30〜17:30
- 入場料 5USドル
戦争博物館(War Museum)
シェムリアップ市街から約5.5km、空港へ続く国道6号線を進み、ロイヤルインターナショナルホスピタル手前の道を右折後、1kmほど進んで左手に見える博物館。
市街からの所要時間はトゥクトゥクで15分程度。自転車をレンタルして行くことも可能です。
この博物館では、広い敷地の中に戦車(タンクT-54)やジェット機(MiG-19)、航空機(Mi-8)といった旧ソ連製の兵器が無造作に野外展示されています。
これらの兵器の多くは、クメール・ルージュ政権後にソ連・ベトナム寄り政権を確率したヘン・サムリン政権時代に、ソ連からの軍事支援として提供されたものです。
カンボジア国内にてクメール・ルージュ残党とベトナム寄りの新政権が内戦していた時代です。
40年くらい前のカンボジアでは、このような兵器が街中をうろうろしていたと考えると恐ろしいばかりです。
日本だと戦争体験者と言えば祖父母や超高齢者くらいですが、カンボジアでは還暦くらいの人が実際にこれら武器を目の当たりにし内戦を経験しているわけです。
一部兵器の中には中身が抜き取られていたり、保存状態が良くない物もありますが、戦争の傷跡に触れることができます。
市街からは近い距離にあるので、観光の合間に行ってみるのがおすすめ。
- 開放時間 8:00〜17:30
- 入場料金/5USドル(9歳以下は無料)
- 公式サイト
ベンメリア(Beng Mealea)
シェムリアップ市街から約65km。片道約1時間30分の場所にある、近郊では最も人気の遺跡。
足場がないほど崩壊が進んでいて、予備知識なしでは何が何だか分からないほど。もはや原型を留めていません。
この遺跡が建築されたのは、アンコールワットが建てられるより1世紀も前。11世紀末〜12世紀末の間に建築されたと言われています。
なぜ足場もないほど崩壊した遺跡が大人気なのかと言うと、この遺跡が『天空の城ラピュタのモデルとなった』という噂が一時期出回っていたからです。
成長した樹木が崩壊した遺跡を侵食している様は、まるで「大自然こそ万物に勝るもの」と言わんばかりの神秘的光景。
確かに、この長年の時を経て無限に変化し続けていく自然の様子は、宮崎駿の世界観に近いものがあると思います。
ただ、残念なことに、一方で『ベンメリアがラピュタのモデルという話は嘘』という信頼性の高い情報も出回っています。
ベンメリアが「天空の城ラピュタ」のモデルになった、などとデマが流れているようですが、間違った情報には惑わされないようにしてください。
天空の城ラピュタが公開されたのは1986年8月2日です。製作はその数年前から行われていると思われますが、その時代にはベンメリアには観光客は行けません。
観光客がベンメリアに行けるようになったのは2000年頃。つまりモデルにしようとしても製作スタッフが行けなかったのです。
カンボジアの内戦が正式に終結したのが1991年、1989年まではベトナム軍も駐留していたわけですから、制作スタッフがラピュタ公開以前にベンメリアへ足を運んでいたとは確かに想像し難いです。
ただ、ラピュタ云々を抜きにしても、この神秘的な光景は一見の価値あり。
遺跡に大きな関心がない方でも足を運んでみるべきと言えるでしょう。
ベンメリアへの行き方
ベンメリアはシェムリアップ市街より片道1時間30分の場所にあるため、トゥクトゥクあるいはタクシーをチャーターして行くのが一般的です。
チャーター料金は往復25USドル〜30USドル。
冒頭の全体地図に記載したように、ベンメリアの先にはコー・ケーやプレビヒアといった遠方遺跡も存在します。
せっかくベンメリアへ行くのであれば、こうした遠方遺跡へも、ついでに足を運んでみるのがおすすめ。
ベンメリアも、セットで他遺跡を回る日本語ガイド付きツアーが催行されているので、効率良く時間を使いたい方はツアーを利用すると良いです。
ベンメリア周辺には未だ地雷撤去が完了していないエリアもあるので、ガイドを付けた方が無難です。
(この先に地雷があることを示す看板。これを見かけたら即引き返すべし)
- 入場料金/入場にはアンコールワットの入場チケットが必要
- 開放時間 6:00〜17:00
プノンクーレン(Phnom kulen)
プノンクーレンは、シェムリアップ市街より北東へ約60km、片道約1時間30分の場所に位置する巨大な山です。
国立公園として保護されている地域であり、主に地元カンボジア人達が家族連れでピクニックや川遊び、自然景観を楽しむ場所として知られています。
敷地内には幻の巨象と呼ばれる「スラードムライ」をはじめ、カンボジア国内最大の涅槃仏(全長8m)などが点在しています。
自然景観やハイキングを楽しみながら、プラスアルファで寺院や遺跡観光も満喫できるスポットです。
(左:スラードムライ/右:国内最大の涅槃仏)
各々の遺跡や寺院の視覚インパクトは小さいです。アンコールワット遺跡群をすでに回った方であれば大きな感動は得られないでしょう。
遺跡や寺院はあくまでプラスアルファ。プノンクーレンのメインは川遊びや自然景観を楽しむことです。
プノンクーレン内の滝つぼでは、水着や浮き輪のレンタルも行っていて、地元カンボジア人達に混じって川遊びできます。
遺跡観光ばかりに飽きた人、カンボジア人に混じって自然の中で遊びたい人は是非訪れてみましょう。
プノンクーレンの地図、行き方、点在する遺跡や寺院の魅力については以下の記事を参考にどうぞ。
バンテアイ・スレイ(Banteay Srei)
ベンメリアに続いて市街近郊の中では人気の遺跡。
アンコールワット遺跡群やその他の遺跡とは一線を画す派手な色合いと美しいレリーフが特徴的。
特に、遺跡のあらゆる場所に掘られているレリーフは必見。
精巧なレリーフの数々は、素人から見ても芸術性に優れていることが分かります。
一つ一つのレリーフの意味を読み解けば、この遺跡の建築に込められた壮大な世界観が見えてくるのでしょうが、分からなくても見た目のインパクトだけで圧倒されます。
遺跡内にて見られる各レリーフの説明はこちらのサイトが詳しいです。基本的にはヒンドゥー教の神々を世界観を描いていることが伺えます。
バンテアイスレイはアンコールワットその他の寺院とは異なり、遺跡全体に威圧感がなくて、威厳や力の象徴というより、「美」のみを追求した遺跡というイメージ。
遺跡の規模自体は決して大きくないですが、足を運んでみる価値はあります。
バンテアイスレイの中央祠堂には「東洋のモナリザ」と呼ばれる美しい女神のデバターがあるものの、1923年にフランス人の調査隊アンドレ・マルローがデバダーを盗み出した事件が発覚しました。
そのため、現在では中央祠堂にロープが張られ立ち入り禁止になっています。
現在、東洋のモナリザは、遺跡に併設されている歴史資料エリアにて写真で見ることができます。
実はバンテアイスレイに限らず、アンコール遺跡群では遺跡に関連する盗品がこれまでに100件以上発覚しています。遺跡の盗品は国際的なブラックマーケットで売買されているとのこと。
上の冊子は100以上の盗品を写真付きで掲載した冊子。カンボジアが遺跡盗品を抑止するために発行したとのこと。
バンテアイスレイへの行き方
バンテアイスレイはシェムリアップ市街から約40kmの場所に位置しています。所要時間は片道約1時間。
トゥクトゥクで行く場合、往復チャーターで20USドル程度。
バンテアイスレイも人気遺跡であるため、日本語ガイド + ホテル送迎付きツアーが催行されています。
効率よく時間を使いた人はツアーを利用するのがおすすめ。
バンテアイスレイはレリーフの意味を知った方が絶対に楽しめるので、日本語ガイドの説明は貴重です。
- 開放時間 6:00〜17:00
- 入場料金 アンコールワット遺跡群のチケットで入場可能
郊外や遠方のおすすめ遺跡
郊外や山地になると、シェムリアップ市街からは片道2時間30分〜 5時間かかるので、余程の遺跡好きでなければ行かない場所も多いです。
ただ、遠方遺跡の中にもシェムリアップ旅行者から人気の場所が一つあります。
それが、以下で紹介するプレアビヒアです。
プレアビヒア寺院(Preah Vihear)
プレアビヒア寺院は、シェムリアップから約220km、片道約4時間の山地に位置する寺院です。
寺院がある場所はタイとの国境境。
プレアビヒア寺院が有名かつ人気な理由は二つ。
一つ挙げられるのは2013年まではタイとの領土争いの舞台となっていて、気軽に立ち寄ることができなかったためです。
2013年に国際的な司法裁判のもと、正式にカンボジア領と認められてシェムリアップから安全に観光できるようになりました。
二つ目は、高所から見えるカンボジアの大地です。
プレアビヒア寺院は高さ約525m(海抜約625m)に位置しているため、敷地内の断崖絶壁からカンボジアの大地を見下ろせます。
このような素晴らしい景色が見られる遺跡はプレアビヒアだけ。
この景色を見るためだけでもプレアビヒアに訪れる価値はあります。
(遺跡内部は神秘的な造り)
プレアビヒアの見所やシェムリアップからのアクセス方法、タイとの国境紛争の詳細については、以下の記事にて詳しく記載しているので、参考にどうぞ。
シェムリアップは東南アジアでおすすめの旅行先
小規模の遺跡や遠方の遺跡を含めると、シェムリアップにはまだまだ見所がたくさんありますが、今回の記事では「ここだけは外したくない」というおすすめの場所のみに絞って記事をまとめました。
「カンボジア」と聞くと、どうしても「内戦」や「地雷」と言ったキーワードが浮かんできますが、実際に行ってみると人々は優しく、旅行者の数も多く安心感のある雰囲気です。
またバックパッカーなどの節約旅行者をはじめ日本人も多いので、海外旅行に慣れていない人でも安心して旅行できる観光地の一つと言えるでしょう。
是非、アンコールワットをはじめとした神秘的な遺跡の数々を自身の目で見てみて欲しいと思います。
シェムリアップにあるコスパの高いおすすめホテルについては、以下の記事を参考にどうぞ。格安〜高級ホテルまでまとめて紹介しています。
シェムリアップのマイナー観光地。蓮池が広がるレッドロータスファームも面白いです。
バルーンに乗ってアンコールワットを上空から見る!アクティビティ好きにおすすめです。