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タイで首長族に会うには、ミャンマーとの国境近くにある町メーホンソンから、ツアー等を利用して彼女らの村に行くのが最もポピュラーな方法です。
しかし、観光地として有名なチェンマイの郊外にも、実は首長族の村がいくつか存在します。
首長族の村は、チェンマイの中心街から車でわずか30分程度でアクセスできる上、村の周辺にあるメーサーエレファントキャンプなどの見所も半日あればセットで観光できる立地にあります。
旅程をチェンマイのみに絞っている人にとっては、非常に好都合な場所と言えるでしょう。
自分はこの事実をチェンマイ滞在中に知り、心を躍らせながら彼女達に会いに行きました。
短期旅行でしかタイに行けない自分にとって、メーホンソンはあまりにも遠く(バンコクからバスで14時間、チェンマイから5時間〜6時間くらい)、いつかは首長族に会いたいと思ってはいたものの、会う機会を中々作れなかったからです。
もし、自分と同じようにタイに短期間しか滞在できない人、チェンマイに滞在する予定の人は、是非彼女らの村に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
今回は、チェンマイ郊外にある首長族の村の一つである「Long Neck Karen Camp」の様子や、入場料や行き方などの詳細を記載していきます。
タイの首長族
首長族は、公にはタイ北部-西部とミャンマー東部-南部にかけて居住するカレン族という、大きな母体となる山岳民族から派生した民族の一つだと見なされています。
「首長族」以外の呼称には、「カヤン」「パダウン」「パドゥン」と言った名称が広く知られていますが、とりわけ日本人の間では「首長族」、また外国人観光客の間でも「Long Neck people」という分かりやすい名称で呼ばれることが殆どです。
ガイドや地元のタイ人、観光中に知りあった外国人観光客にも「Long Neck People」と言った方が通じやすかったですし、多くのガイドブックや旅行会社のパンフレットもLong Neck Peopleと記載しています。
ちなみに、リングをはめて首を長くみせるのは女性のみの風習であり、男性の見た目は一般人と変わりありません。
首を長く見せる理由は未解明
上で、首長族はカレン族から派生した民族の一つだと”見なされている”と記載しましたが、これは首長族のルーツに関する資料が殆ど残っておらず、あくまで推測によるものだからです。
また、関連する資料が殆ど残っていないため、首長族が自らの首にリングを纏い、首を長く見せる理由については、当の本人達すらも真相は分かっていません。
ただ、推測とされている理由の中には、”虎に首を噛みちぎられないようにするため”、”あえて異様な格好をすることで、他部族の男性との交際を防ぐため”などの説があります。
しかし、個人的には単純に美しいからという理由で纏い始めたのではないかと思います。そして、どうやら現代ではその説が最も有力のようです。
世界には肥満の女性が美しいとされる国もあるくらいなので、首が長いほど美しいと認識する人達がいても何ら不思議ではありません。
経済的な理由
ただし、現代においてこの風習は、経済的な理由も動機になっていると言わざるをえません。
タイに居住している首長族の殆どは、ミャンマーからの難民もしくはタイの観光業者に手引きされ、難民キャンプからの「出稼ぎ」としてこうした観光村に滞在しています。
首長族の容姿はタイ北部における観光商品の一つになっていて、村によって差異はあれど、こうして首にリングをはめている女性達にはタイ政府から毎月生活費の支給があるのです。
そもそも、首長族の女性達は、首にリングをはめる風習を強制とはしていません。
女性達の多くは5歳〜6歳前後より首にリングを纏い始めるのですが、これはあくまで親が本人の意志を尊重した上で開始します。
そのため、もちろん自分の意志でリングをはめていない女性もいるのです。
近年、ミャンマーの若い首長族の中にリングをはめていない女性も多い一方で、タイの首長族の女性の殆どがリングをはめている理由には、こうした経済的な背景があることは否定できないでしょう。
観光収入のために首長族を連れてきて、観光村に閉じ込めておくことを(彼らの多くは難民であるため、村外に住む許可は中々得られないという)、「まるで人間動物園だ」と批判する人もいます。
ただ、こうした政府の保障によって生活できている人がいるのも確かでしょう。
簡単に良い悪いの議論はできませんが、観光する以上は、こうした背景を知って失礼にあたらない言動を心がけておきたいです。
ミャンマーからの難民と出稼ぎ
上で少し触れたように、タイに居住する首長族の多くは、隣国ミャンマーからのミャンマー難民です。
ミャンマー難民とは、軍事政権下にあったミャンマー連邦内の民族紛争を原因とし、国外に流出し難民化した人々のこと。狭義の政治難民として認定されている場合とされていない場合がある。
ただ、近年ではミャンマーに住む難民ではない首長族も、こうしたタイにある観光村へ自ら出稼ぎに来ているとのことです。
出稼ぎにきている首長族の中には、家庭環境の事情からミャンマーとタイを行ったり来たりして生活費を稼いでいる者もいるようですが、ミャンマーでの暮らしは苦しく、最終的にはタイの観光村での生活を余儀なくされる首長族も多いとのことです。
チェンマイの首長族の村「Long Neck Karen Camp」
(Long Neck Karen Campの入り口)
今回紹介するチェンマイ郊外にある首長族の村には、首長族以外にアカ族と呼ばれる山岳民族もいます。
アカ族はウチュと呼ばれる特徴的な帽子を被っています。
(首長族の村にいたアカ族)
(チェンマイ市街のチャンクラン通りにて開催される「チェンマイナイトバザール」付近で売り子をしているアカ族達。彼女達が本物のアカ族かは不明)
首長族ほどではないですが、アカ族のインパクトある民族衣装にも好奇心がわきます。
村内には土産物屋がずらっと並ぶ
首長族の村は、観光用に作られた観光村ということだけあって、村内の8割は土産物屋で構成されています。
恐らく、観光客が立ち入れない場所にも、彼らの住まいがあるのだと思います。そのため、村の中で彼らの生活ぶり(例えば農作業やご飯を作っているところなど)は見られません。
ただ、若干ですが、観光客が立ち入るエリアにも確かに彼らの生活圏があります。
しかし、土産物屋の方が圧倒的に多いので、正直言って「未開集落」のようなロマンは感じられません。これは致し方ない点でしょう。
首長族の家屋。細かく割いた竹を編み込んで壁を作っています。
家屋のよっては電気も通っているようで、スマートフォンを充電している若い首長族の女の子もいました。
共用で使用しているであろうトイレ。一般的なタイ式のトイレです。観光客もこのトイレを使います。
村内で遊んでいた子供達。子供が乗っている三輪車はNGOの支援で提供されたものでしょうか。
村内にある小さな学校。正面にホワイトボードがあります。この日学校はやっていなくて、中で人が昼寝をしていました。
少しの居住エリアを過ぎた後は、土産物屋のみが並んでいます。地面は舗装されておらず、家屋の屋根は全てカヤブキ。大雨が降ったらどうなるのか心配です。
首長族の村はそれほど大きくはなく、1時間程度で全てを見て周れます。
首長族とのコミュニケーション
(11歳の首長族。チェンマイの首長族の村には若い美人の子が多かった)
上で述べたように、村内の8割は土産物で構成されています。そのため、首長族とのコミュニケーションは、土産物屋での売り買いが殆どになります。
首長族の多くは、子供であっても簡単な英語を理解します。観光客慣れしているからでしょう。
ちなみに、タイ語話者は少ないようです。自分はタイ語を話せませんが、英語で「Can you speak Thai ?」と聞いたところ、答えは「No」が殆どでした。
普段使っている言語はビルマ語のようです。
タイの観光地と言えば、客引きや売り子が鬱陶しいくらい声をかけてくることも多いですが、首長族の村ではそのようなことは一切ありませんでした。
店先で座ってのんびり喋っていたり、昼寝をしている人が多かったです。変に観光客に関心がないので、雰囲気が良かったという印象があります。
そのため、観光用に作られた村とはいえ、村内を普通に歩いている首長族の子を見かけると、非日常的な空間にやってきたという感覚になります。
写真撮影には気兼ねなく応じてくれます。
ただ、上で述べた背景があるため、写真を撮らせてくれる代わりにチップをあげるという行為はよろしくないのではと思いました。
しかし、写真だけ撮って周るのも、それこそ人間動物園のように感じられるので、土産物屋で何かを買い、その代わりに写真を撮らせてもらうことにしました。
お土産の値段は観光地価格なので安くはありませんが、交渉して値切ることは可能です。
首長族がつけているリングや、首長族をイメージした置物、またタイの市街地ではあまり見かけない葉巻なども売っています。
村で買った物。葉巻は50バーツ。ポーチは100バーツ。緑色の日焼け止め50バーツ。
ポーチはアイコスが綺麗に入るサイズだったので丁度良かったです。
ちなみに、葉巻は決してマ◯ファナなどではなく、もちろんただのタバコです。
しかし、少しでも不審に思われたら面倒なので、葉巻は帰国前に全て処理しました。
その他には、首長族の女性達が手作りしているスカーフなども売っています。
首長族の村への行き方
チェンマイ市街地から首長族の村への地図。
チェンマイ市街地から首長族の村へは、車で30分程度でアクセスできます。
ただし、市街地と村の間を巡回するソンテウは存在しません。
また、チェンマイにはBTSやMRTのような電車も通っていません。
そのため、チェンマイ市街地から首長族の村へアクセスするには
- タクシーを使う
- ソンテウまたはトゥクトゥクをチャーターする
- ツアーを利用する
上記3つの内いずれかの方法を利用することになります。
タクシーを使う
チェンマイのタクシーはバンコクと違い、一般車両を貸し切って使います。
値段は交渉制ですが、チェンマイ市街地から首長族の村までの目安は往復で300バーツ程度です。
交渉次第ではもっと安くなる場合もあるでしょう。
タクシーは市街地の街角(とくにホテル付近)にて客待ちしてることが多く、ホテルによっては受付で呼んでもらうこともできます。
ソンテウやトゥクトゥクより高額ですが、エアコンが効いているので乗り心地は良いです。
バンコクほどタクシーが流通していないチェンマイでは、タクシーを探すのは中々困難。
そこで、手っ取り早く快適な環境でアクセスしたい人はグラブを利用するのがおすすめ。
グラブであれば料金は明朗会計。予約時点で運賃が確定します。また、ドライバーの身元が分かっているため安心安全です。
グラブの利用方法については、以下の記事を参考にどうぞ。
グラブを利用する際、ドライバーに帰りの足もお願いしておきましょう。往復のチャーターは必須です。
なぜなら首長族の村は山奥にあるため、帰りのグラブを呼ぼうにも、かなりの時間がかかる可能性があります。チャーターしておけば、観光を終えたらさくっと帰れるので便利。
ソンテウまたはトゥクトゥクをチャーターする
チェンマイのソンテウはボディが赤色です。
街中を巡回しているので、手を挙げて止め行き先を告げて乗車します。
ソンテウとトゥクトゥクの料金も、タクシー同様に交渉制です。
料金の目安としては250バーツ前後です。
ただし、決して長時間の乗り心地は良くないので、個人的にはタクシーの方が良いかと思います。
ツアーを利用する
ある程度予算のある人は、ツアーの利用がおすすめです。
ツアーであれば、滞在しているホテルへの送迎が付いてくるので移動が楽です。
また、首長族の村だけでなく、チェンマイで一番美しい洞窟「チェンダオ洞窟」も一緒に観光できます。
何より日本語ガイドが付いているので安心感もあります。
海外旅行に慣れていない人や、ガイドを通してもっと首長族の文化に触れてみたい人はツアーの利用が断然良いでしょう。
ツアーは15時頃には終わるので、夕方からの街歩き観光もじっくり楽しめます。
首長族の村の入場料金
入場料金:500バーツ(1人)
※ツアーの場合はツアー代金に入場料が含まれています。もちろん、ツアー代金にはイカダ下りとエレファントキャンプの料金も含まれています
(首長族の村の正確な開放時間は不明ですが、夕方頃には閉まると思われます。自力で行く場合は、日中の早い時間を予定しましょう)
首長族の村はチェンマイでおすすめのスポット
チェンマイには今回紹介した首長族の村以外にも、魅力的な観光地が多々点在しています。
市街地ではナイトバザールが開かれていたりと、街歩きも飽きずに楽しめるのがチェンマイの魅力です。
もし短期間でタイ北部の観光を楽しむのであれば、チェンマイを中心に滞在して首長族の村もセットで周ることを是非おすすめします。
確かに、首長族には上述したような背景もありますが、こうした観光地を全て否定することは、個人的には前向きだとは思っていません。
表面的とはいえ、実際に彼女達カレン族の生活や文化を自らの目で見て、その場の空気を肌で感じて、その上で彼女達の視点に立って考えてみるのが有意義な観光かなとも思う次第です。
首長族の村を含め、旅行前に知っておきたいチェンマイのおすすめ観光地や市内での移動方法については、以下の記事を参考にどうぞ。
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