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マニアの話は面白いものです。自分が興味のない分野でも、語り手の熱量に思わず引き込まれることがあるでしょう。タイにも「料理」「歴史」「タイ人女性」など、さまざまな分野にマニアが存在します。その中で、タイの街並みを彩る「お寺」のマニアとして知られるのが、たーれっくさんです。
バンコク在住の日本人漫画家として、ブログやSNS、フリーペーパー、電子書籍を通してタイ寺院の魅力を発信してきたたーれっくさん。2015年にタイに移住して以来、取材時点でなんと2,650ヶ所以上もの寺院を巡っています。
彼の投稿は、タイの神様や幽霊にまつわる話題でときに大きなバズを生み、タイ人からも「勉強になる」と注目されています。筆者も以前から彼の活動に深く興味を持ち、今回ようやく直接話を聞く機会を得ることができました。
たーれっくさんがタイ寺院にハマったきっかけ、そしてお寺文化の奥深さについて、じっくりと伺います。
- 肩書き:日本人漫画家/イラストレーター
- 活動拠点:バンコク
- SNS:X(旧Twitter): @taarekrek / Instagram: @taarekrek
- 電子書籍リンク: www.amazon.co.jp
- プロフィールリンクまとめ
象が歩く街に衝撃。カルチャーショックとタイの魅力に惹かれ、移住へ
愛知県出身のたーれっくさんは、もともとゲーム関連会社で制作に携わりながら、子どもの頃からの夢だった漫画家としてデビューを果たしました。その後、漫画家として独立し活動を続けていきます。
意外にも、最初から寺院や宗教に強い関心があったわけではありません。初めてタイを訪れたのは2008年。友人に誘われ、旅行会社のツアーに参加したという、ありふれたきっかけだったといいます。
ただ、2008年当時のタイは、今と比べてまだ雑多な雰囲気が残っていました。バンコクの街中を象が歩く光景など、訪れた日本人にとってはカルチャーショックそのもの。物価や円高の影響もあって、タイは「安くてなんでもある居心地の良い国」として映った一面もあったでしょう。筆者が初めてタイを訪れたのは2015年ですが、その時点でもなお、同じ印象を抱いたのを覚えています。
たーれっくさんが本格的にタイへ移住したのは2015年。それまでの7年間は、2ヶ月に1回ほどの頻度で訪れるうちに、次第にタイに惹かれ、その魅力に深くのめり込んでいったそうです。タイには、日本人を夢中にさせる独特の空気や文化があります。それはたーれっくさんにとっても、また筆者にとっても共通の実感です。
気がつけば訪問数は2650軒超え。タイ寺院に惹かれた理由
たーれっくさんがタイ寺院に強く惹かれるようになったきっかけは、旅行中に見かけたナーガ像のデザインやアーティスティックな要素にあったといいます。ナーガはインド神話に由来する蛇神で、タイ寺院の装飾において重要な存在です。

タイのナーガ像
タイのナーガ像には曲線の美しさ、繊細な装飾、そして荒々しさの中に感じる知性のような雰囲気があり、職人技と宗教的象徴性が見事に融合しています。ドラゴンボールの神龍のような力強さと神秘性を思わせるその姿に、たーれっくさんは魅了されたのだそうです。
寺院そのものについても、日本の寺院が「簡素・静寂」を重んじる美学を持つ一方で、タイの寺院は金箔を多用した屋根装飾や多彩な彫刻で、人々を視覚的に引き込むような力強さと華やかさがあります。タイの寺院が、多くの日本人観光客を惹きつけるのも当然のことでしょう。筆者自身もたーれっくさんほどではないものの、タイ寺院の建築や装飾に特別な魅力を感じています。
「また、タイのお寺は数年ごとに大きな改修工事を行うことが多いです。たとえば、ワット・パクナムのような有名寺院でも、大仏が完成したばかりなのに、もう新たな改修を始めていたりします。観光客の増加や寄進が集まると、すぐに新しい工事が始まり、新たな施設ができるのもタイのお寺の面白いところですね。だからこそ、訪れたいお寺のリストがなかなか減らないんです(笑)。日本だと古いものを残す文化が強いですが、タイは『どんどん新しくしていく』勢いがあって、それが日本との大きな違いであり、また魅力の一つかもしれません。」
こうして寺院の魅力に深く魅了されたたーれっくさんは、時間を作ってはバイクでタイ各地を駆け回り、2015年の移住以降、巡った寺院の数は2,650軒を超えています。
日本でも御朱印集めや寺社巡りを趣味とする人は多いものの、1,000ヶ所を超えている人はほとんど見かけません。それを思えば、たーれっくさんのお寺巡りの記録はまさに「偉業」と呼ぶにふさわしいでしょう。
400回以上通うメー・ナークさんのお寺
バンコクの「ワット・マハーブット」は、メー・ナークという幽霊伝説で知られる寺院です。BTSオンヌット駅から徒歩20分ほどの場所にあり、心霊スポットとして語られる一方で、宝くじ当選祈願や恋愛成就を願うタイ人たちが絶えず訪れる特別な場所でもあります。
メー・ナークはタイ人に広く親しまれる怪談の精霊であり、壮大なラブストーリーとしても描かれます。たーれっくさんはこの物語に強く惹かれ、これまでに400回以上もワット・マハーブットを訪れたといいます。
筆者も2〜3回訪問したことがありますが、メー・ナークの伝説を知ってから訪れると、より感傷深い気持ちになります。なお、この物語は「愛しのゴースト」という邦題で字幕付きで配信されているので、興味があればぜひご覧ください。
タイのお寺巡りがもっと楽しくなる!たーれっくさんのおすすめ5選
2,650ヶ所以上もの寺院を訪れたたーれっくさんに「お気に入りの寺院を5つ挙げるなら?」と尋ねてみました。
たーれっくさん自身は、ちょっとした珍スポット要素やテーマパーク的な雰囲気、そして派手で分かりやすいデザインの寺院が好きだと語ります。
いずれも「未訪問ならぜひ一度行ってみてほしい」と感じる場所です。
ワット・バンライ(Wat Ban Rai) / ナコーンラチャシーマー県
ナコーンラチャシーマー(コラート)に位置する、高さ約42メートル、直径約65メートルの象を模した巨大な礼拝堂が有名な寺院。
外壁を覆う約2,000万個のモザイクタイルのカラフルさは圧倒的で、内部には高僧ルアンポー・クーンに関する遺品や写真が展示されています。
筆者も訪れたことがありますが、その迫力と独創性は圧巻でした。ぜひ足を運んでみてほしいお寺です。
ワット・プラタート・パーソーンケーオ / ペッチャブーン県
タイ北部ペッチャブーン県の山岳地帯に佇む寺院。山々を背に五体連なる白亜の仏像が堂々と立ち並び、見た目のインパクトも抜群。
写真映えスポットとしても有名で、公共交通機関でのアクセスは限られていますが、それでも多くの日本人旅行者が訪れています。
ワット・マニーウォン / ナコーンナーヨック県
ナコーンナーヨック県にある、壮大なナーガ洞窟で有名な寺院。
洞窟内部には1,000体を超えるナーガ像が壁や天井を埋め尽くし、タイ寺院特有の神秘的な雰囲気が漂います。
バンコクから比較的アクセスしやすく、タイ寺院文化のユニークな一面を体験できる場所です。
ワット・バンデーン / チェンマイ
チェンマイ県メーテーン郡インタキン地区にある寺院で、カラフルで緻密な鳥の装飾が印象的。
派手でテーマパークのような雰囲気を持ち、たーれっくさん曰く「チェンマイに来たら、少し足を伸ばしてでも訪れてほしい」とのこと。
最近ではタイ人のSNS投稿がきっかけで、日本人旅行者の間でも注目度が高まっています。
ワット・パリワート(Wat Pariwat) / バンコク
バンコクにある“珍スポット”として日本人観光客にも人気の寺院。
境内にはスーパーマン、バットマン、ピカチュウ、アルベルト・アインシュタイン、ポパイ、ピノキオ、キャプテン・アメリカなど、ポップカルチャーのキャラクターが彫刻として融合しています。
「寺院でこんなのあり!?」と驚くような光景に出会える、まさにアメージングなスポットです。
たーれっくさんのイラストが「無断で」壁画になった寺院も!
タイ中部・スパンブリーにある「ワット・カオディン(วัดเขาดิน)」は、個人的にぜひ訪れてほしい寺院の一つです。日本風の装飾や建築様式を取り入れたユニークな寺院で、境内には鳥居や招き猫、巨大な将棋駒が並びます。頂上には黄金の仏塔がそびえ、その内部にはタイと日本の文化が融合した独特な壁画が描かれています。
特に注目したいのは、この壁画。
筆者が一目見て「これはたーれっくさんのイラストだ!」とすぐに気づくほど、まさに彼の作風そのもの。しかし実際にたーれっくさんに話を聞いてみると、なんと「許可もなく勝手に使われた」とのこと。
まさにアメージングタイランド。とはいえ、タイ人の心をつかんだのが、同胞のイラストだと思うと嬉しさも感じます。
タイ旅行をもっと深める。たーれっくさんの著書を読んでみよう
電子書籍「タイのお寺巡りガイド」タイ中部編最新版をリリースしました! 前作のバージョンアップですが、完全版になります。たくさんの写真に膨大な情報と、全力を注ぎましたので、ぜひあなたの電子書籍コレクションの一冊に加えていただければと思います。よろしくです!https://t.co/TKhphaZ7fk pic.twitter.com/3wN8TidFyb
— たーれっく (@taarekrek) April 26, 2025
たーれっくさんは現在、電子書籍でタイ各地のお寺を地域ごとに紹介しています。これらの書籍は、タイ旅行前に読むことで、お寺巡りの楽しさがぐっと広がるはずです。
タイでは、あちらこちらに目を引く寺院が並んでいますが、意外と「よくわからないまま素通りしていた」「なんとなく見かけたことはあるけれど…」というお寺も多いでしょう。
そんな方こそ、「あのお寺は実際にどんな場所なのか?」「タイのお寺の面白さをもっと知りたい」と思ったときに、たーれっくさんの書籍が役立ちます。
読めば、タイ寺院への見方が変わり、より深い視点で旅を楽しめるはずです。
「最近、タイの若者を中心に「サーイムー(สายมู)」や「มูเตลู(ムーテールー)」と呼ばれるスピリチュアルな文化が広がっています。こうした信仰は、恋愛成就や金運祈願、宝くじ当選祈願など、日々の願いを叶えるための行動として楽しまれています。お寺は静かに祈る場所である一方で、人々のさまざまな願望や遊び心を受け入れる“文化の交差点”としても機能しているのです。」
- 肩書き:日本人漫画家/イラストレーター
- 活動拠点:バンコク
- SNS:X(旧Twitter): @taarekrek / Instagram: @taarekrek
- 電子書籍リンク: www.amazon.co.jp
- プロフィールリンクまとめ
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