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(アランヤプラテートにあるクメール遺跡「プラサート・サドック・コック・トム」)
アランヤプラテートでは、カンボジアを目指して国境を越えていく多くの旅行者を見かけますが、殆どの人が国境を通過するだけで観光はしていないようです。
自分もカンボジアへ行く途中に滞在したのですが、なんと郊外にはいくつかのクメール遺跡が点在しているということを知り、せっかくなので数日間滞在して周ってみることにしました。
一般的にアランヤプラテートの主な観光地として知られているのは、国境付近のロンクルア市場とカンボジア側のカジノだけです。
郊外の観光地については、アクセスが困難ということで目立った紹介は見かけません。
そこで今回は、自分が周ってきた郊外の観光地を3つ紹介したいと思います。
いずれも外国人をあまり見かけない珍スポットではありますが、カンボジア滞在前後にも遺跡観光などを楽しみたい人は是非足を運んでみて欲しい場所です。
アランヤプラテート郊外の地図
いずれの観光地も市街から車で一時間以上の場所にあります。
(地図上A・B・C地点が観光地の場所。左下の+と−で地図を拡大・縮小できます。アイコンをクリックすると写真を表示します。)
市内の移動であれば、トゥクトゥクかモーターサイを利用することになりますが、ドライバーが郊外までの移動に応じることは滅多にありません。
郊外へ出ている公共交通機関はなく、レンタカー屋も存在しない為、郊外へはホテルのプライベートVIPカーサービスを利用します。
(プライベートVIPカーサービスのカード。前回紹介したアランヤプラテートのホテルのレセプションにて手配可能。)
プライベートVIPカーサービスの利用料金は移動距離によって異なります。おおよその予算は一観光地につき1000バーツくらいを見ていたほうが良いでしょう。
料金詳細は利用前にレセプションにて確認してみて下さい。
プラサート・サドック・コック・トム(KOK THOM CASTLE)
(上地図Aの場所)
プラサート・サドック・コック・トムは、カンボジアとの国境付近にあるヒンドゥー寺院です。
カンボジア以前の国である、クメール王朝の王ジャヤヴァルマン4世により、937年に建設されました。
(当時のクメール王朝の領土。現在のラオス、ベトナム、タイも含まれるほど広範囲だった。)
遺跡の入り口。カンボジアのアンコールワット遺跡郡同様、周りは赤土で覆われています。
入り口にて。敷地面積は歩きで十分回れる広さですが、レンタル自転車の貸し出しをしていました。
サドックコックトムは、国境によってタイの観光地となっていますが、もしカンボジア内に位置していれば、アンコールワット遺跡郡として世界遺産の仲間入りをしていたのではないのでしょうか。
そう思えるくらい魅力を感じるクオリティでした。
急な階段を上り下りしながら散策を楽しむタイ人観光客。
クメール遺跡の特徴である頑丈そうなレンガ造りの通路。
遺跡観光の楽しみ方は人それぞれあると思いますが、遺跡にゆっくりと身を置き、当時の生活を想像してみる人も多いと思います。
じっくりと、遺跡に彫刻された独創的なレリーフを眺めていると、カンボジアを含めたこのあたり一帯が、当時の東南アジアで一番の文明を持っていた場所であることが想像できます。
(敷地内には、地雷撤去・遺跡の復旧作業に関わった多くの日本人の名を刻んだ石がある)
サドックコックトムはカンボジアとの国境近くにあり、以前までは周辺に多くの地雷が設置されていました。
危険地帯とされていた一帯を、日本のNPO法人JAHDSが2004年に地雷撤去作業を行いました。
これにより、今では多くの人が訪れることができるようになったのを忘れてはならないでしょう。
プラサート・カオ・ノイ(Prasat Khao Noi)
(上地図Bの場所)
プラサート・カオ・ノイは7世紀頃に建てられたと言われるヒンドゥー寺院です。
アランヤプラテートの南端にある丘の頂上、標高130メートルほどの高さの場所にあります。
寺院周辺には多くの枯葉が落ちており、年季を感じます。
丘の上には3塔の寺院の痕跡がありますが、現在天井まで綺麗に残っているのは中心の1塔のみです。
プラサート・カオ・ノイが建てられた7世紀頃と言えば、クメール人達が徐々にクメール王朝を形成し勢いを増していくという時代です。
後に次々と建設されていくアンコールワット遺跡郡よりも古く、クメール王朝初期の遺跡と思うとロマンを感じます。
遺跡横に建っている仏像。新しいようですので、遺跡修復作業時に建てられたのではないでしょうか。
修復中の仏像もあった。
丘からはアランヤプラテートの田舎町が見えます。
標高130メートルと聞くと高くは感じませんが、頂上からの景色は思っていたより見晴らしが良いです。
東南アジアに数多く残るクメール遺跡の中では比較的小さいですが、建てられた年代にロマンを感じるのであれば、観光予定地の一つに加えてみても良いと思います。
パンシダ国立公園(Pang Sida National Park)
(上地図Cの場所)
パンシダ国立公園はアランヤプラテート市街から北方の山岳地帯にある大規模な公園です。
市街から若干距離はありますが、アランヤプラテート近郊にある小中学校の、郊外学習や自然教室の場所としてよく利用されることもあり、訪れたことのあるタイ人は多いようです。
公園内には大きな川や蝶々が集う広場、公園の奥まで行くと山頂から景色を眺めることもできます。
休日になると弁当を持参した家族連れが多く来園していました。こうした日本と変わらない風景を見ると、時には自然の中でやすらぎを感じたくなるのは、国が違ってもみんな一緒なんだなと思います。
川は生い茂った木々と岩で囲まれており、天然の露天風呂のような形をしています。都会の騒音を離れ、気持ち良さそうに水浴びをしている人達を見ると楽園に来たかのような気になります。
娯楽が多種に渡ってカテゴライズされた現代において、年齢関係なく遊べる場所というのは、もはやこうした自然の中だけなのかもしれません。
水辺を少し登ると、たくさんの蝶々が集う場所がありました。
タイで虫と触れ合う機会と言えば、今まで虫料理ばかりだった自分にとって安心できる一場面。
説明によると、多くの蝶々を見ることができるのは、雨季シーズン(9月〜10月)。天候が良く湿気の多い9時から11時がベストだそうです。
自分が訪れたのは1月でしたが、それでも十分なくらいの蝶々を見れました。
これ以上の量を見るのも興味はありますが、天候さえ良ければある程度満足できる数を拝めるのではないでしょうか。
ここの蝶々は人が近づいても逃げませんので、写真を撮る際は踏みつぶさないように注意が必要です。
子供達のはしゃぐ声に、綺麗な蝶々の群れ。なんとも癒されます。
川や蝶々の群れが見える場所が公園のメインエリアのようですが、さらに車で2時間ほど登り続けると公園の頂上にたどり着きました。
(頂上から見える景色)
景色は確かに綺麗ですが、2時間もかけて行った割には…というのが正直な感想でした。
明らかに疲れの方が上回ってました。川周辺と蝶々の群れだけ見て帰るのがいいかもしれません。
アランヤプラテートの魅力
今回が2回目のアランヤプラテート滞在でした。
前回はカンボジアに行く際に国境を通過しただけで、ただただ国境が騒がしいという印象でしたが、こうして郊外まで出てみると、クメール王朝のなごりや、安らぎを覚える自然を見ることができ、嵐と嵐の前の静けさのどちらも味わえる面白い場所だったという発見ができました。
どの観光地のアクセスも容易ではないですが、アランヤプラテート自体は滞在しやすい町ですし、珍スポット巡りという風変わりな旅行も決して悪くないと思います。
今回の郊外観光は、以前紹介したアランヤプラテートのホテルでVIPカーサービスを利用できたので、国境見学の前後に観光に組み込んでみてはいかがでしょうか。
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