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大麻より先に、魚や鶏の餌をつくる。「オーガニック」とは呼ばないIzumo Greenのバイタベジ農法

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Izumo Greenのオーガニック大麻ファーム1

バンコク・アソークのディスペンサリー「Izumo Green」は、自社ファームで化学肥料やホルモン剤に頼らない土壌栽培を行っています。2025年には認証オーガニックの大麻だけを競う国際大会「1st Ganja Cup Prempavee」のインドア部門で2位という評価を受けました。

1st Ganja Cup Prempavee受賞の賞状

ただ、筆者の印象に残ったのは受賞歴ではありません。煙にアレルギー反応を示しやすい知人が、こんなことを口にしたのです。

「自分が唯一吸えるのが、Izumoの大麻なんだ」

筆者自身も、Izumo Greenの大麻には煙の軽さや残り香の少なさ、作用の抜け方に他店との違いを感じていました。ただ、その理由まではわかりません。

理由を探るべく、オーナーであり栽培にも携わる堀越氏に取材すると、最初にこう語りました。

「私たちは自分たちの栽培方法を、あえてオーガニックとは呼びません」

ではIzumoはどのように大麻を育てているのか。話は大麻ではなく、土から始まりました。

「オーガニック」という言葉では説明できない「バイタベジ農法」

Izumo Greenのオーガニック大麻ファーム2

化学肥料は、大麻に限らず野菜の栽培でも長く重要な役割を果たしてきました。人口の増加を食料生産で支えてきた功績は、歴史を見れば明らかです。堀越氏もそれを否定しません。

ただし、大量生産を追求するあまり土壌が損なわれた地域が世界中にあることもまた事実です。そこでIzumo Greenが立てた問いが、「化学肥料やホルモン剤に頼らず、植物本来の力を最大限に引き出せないか」でした。

ここまでは、一般的にオーガニックと呼ばれる考え方と重なります。それでも堀越氏は、自分たちの栽培をオーガニックとは呼びません。

「近年、オーガニックという言葉は広く浸透し、多くの人が良いイメージを持っています。しかし私は長年栽培に携わってきた経験から、その言葉に違和感を覚えることがあります。」

オーガニックという言葉は、多くの場合、「植物に何を与えるか」という視点で語られます。化学肥料か有機肥料か、農薬を使うか使わないか。関心は、植物に投入するものの中身へ向けられます。

Izumo Greenが見ているのは、その手前です。与えるものを選ぶ前に、植物本来の生命力が発揮される環境そのものを作る。

私たちは、『何を与えるか』よりも、『どのような環境で育てるのか』を重視しています

Izumo Greenのオーガニック大麻ファーム3

この考え方を表す言葉として選ばれたのが、「バイタル(Vital/生命力・活力)」でした。これに「ベジタブル(Vegetable/植物・野菜)」を掛け合わせ、自分たちの栽培方法を「バイタベジ農法」と名づけています。

既存の言葉を使わず、自分で名前をつける。その選択自体に、この農法が既製の枠に収まらないという主張が表れているように筆者には思えます。

微生物を育てるために魚を飼う

ファームを取材して、まず驚いたのは、魚を飼っているということでした。

Izumo Greenのオーガニック大麻ファーム栽培の循環図

魚由来の肥料そのものは、大麻栽培では珍しくありません。魚の残渣を加工したフィッシュエマルジョンは、コンポストやミミズの糞と並ぶ、よく使われる資材です。アクアポニックスと呼ばれる水耕栽培で魚を飼育するケースもありますが、Izumo Greenは土壌栽培です。水耕でもなく、資材を買うのでもない。なぜ、買わずに自分で飼うのか

「私たちの農場では、単に植物を育てているわけではありません。まず育てているのは土壌微生物です」

Izumo Greenのオーガニック大麻ファームの土

植物が根から吸収するのは、水に溶けた無機の養分です。有機物のままでは、植物は栄養として取り込めません。土壌の微生物が有機物を分解し、植物が吸収できる形へ変えます。だからIzumo Greenは、植物に栄養を与える前に、微生物を養うことから始めます。魚から生まれる有機物が、その餌になります。

ここで止まる農場は少なくないはずです。ところがIzumo Greenは、もう一段下ります

「堆肥よりも、その堆肥を作る生き物が何を食べているかが重要なんです」

魚が何を食べたかで、その魚から生まれる有機物の質が変わる。だから魚に与える餌までも、自分たちでこだわりを持って作る

大麻を育てるために土を育てる。
土を育てるために微生物を育てる。
微生物を育てるために魚を飼う。
そして魚のために餌を作る。

この「餌から作る」というこだわりは、魚に限ったものではありません。農場で育てる鶏も、同じ考え方で世話をしています。

Izumo Greenのオーガニック大麻ファームで飼っている鶏

Izumo Greenの農場で育てられている鶏

土壌微生物を活性化させる手段も、魚だけではありません。一般的な農業ではあまり使われない自社独自のミネラル資材や発酵資材を併用しています。

買えば済むものを、わざわざ作る。効率だけを見れば、遠回りとしか言えません。それでもIzumo Greenがこの手順を選ぶ理由は、次の話でよりはっきりします。

収量やTHC含有量ではなく、土を選ぶ

Izumo Greenのオーガニック大麻ファーム4

大麻栽培では、追光設備や高架式の栽培設備、水耕栽培など、さまざまな技術が使われています。堀越氏はそれらを否定しません。収量を増やし、THC含有率を上げ、品質を均一に保つ。目的がそこにあるなら、優れた技術だと認めています。

ただ、Izumo Greenが求めているものは別のところにありました。

植物が本来持つ生命力や、土壌微生物との共生によって生まれる複雑な香りや味わい、自然な体感は、効率を上げる技術からは出てこない。だからIzumo Greenは、微生物が生きた土を育て続ける道を選んでいます。

「主役は植物ではありません。まず主役は土です」

この考えは、資材の調達にも及びます。既製品の肥料や土をほとんど買わず、発酵肥料も培土も微生物資材も、可能な限り自社で製造する。農場で出た有機物は捨てずに土へ還す

結果として起きているのは、土壌そのものの成長でした。

「今の作物よりも次の作物が良くなり、さらにその次が良くなる」

使うほどに良くなる土を育てる。効率だけを見れば遠回りですが、Izumo Greenはその道を選び続けています。

Izumo Greenの大麻を吸ってみた

IZUMO GREEN BANGKOKのブルーサムライ・パッケージ

育て方はわかった。では、その違いは吸ったときに表れるのか。ここからが大麻ユーザーにとって本題でしょう。

今回体験したのは、Izumo Greenの看板商品「Blue Samurai(ブルー・サムライ)」。ハイタイムズ・カンナビスカップの受賞歴を持つ品種で、バンコク・アソーク店では1g1,000バーツで購入できます。

IZUMO GREEN BANGKOKのブルーサムライ・バッズ

公式の説明では、ガスや焦げたゴムを思わせる大胆な香りと、頭の雑念も身体の緊張も断ち切るような深い鎮静が特徴とされています。

吸いやすさ

IZUMO GREEN BANGKOKのブルーサムライ・ジョイント

最初に感じたのは、煙の刺激の少なさでした。大麻特有の苦味がほとんどなく、喉に引っかかりません。

筆者には逆流性食道炎の初期症状があり、タバコや大麻を吸うと胃のあたりに違和感が残ります。銘柄を問わず、これはほぼ避けられません。ところがBlue Samuraiでは、それが出ませんでした

栽培方法との因果関係を断言することはできません。ただ、煙の刺激が比較的少ないと感じたことは事実で、冒頭で紹介した知人の言葉を思い出したのも、その体験があったからでした。

残り香

IZUMO GREEN BANGKOKの店内写真

Izumo Greenの店内

Izumo Greenの大麻を語るうえで外せないのが、香りの残らなさです。

多くのディスペンサリーでは、扉を開けた瞬間から大麻特有の匂いが漂います。Izumo Greenの店内では、それをほとんど感じません。換気設備の影響もあるはずですが、堀越氏の見方は少し違います。

堀越氏は「一般的に『大麻の匂い』と認識されている香りの一部には、栽培過程で使用される肥料や資材由来の要素も含まれているのではないか」と話します。ただし、これは現時点で堀越氏自身も研究を続けている仮説の段階であり、科学的な結論が出ているわけではありません。

体感

身体は確かに落ち着きます。ただ思考のほうは、鎮まるどころかクリエイティブな方へ動き出す。筆者の場合は、写真の現像や加工に集中したいときと相性が良く、実際にBlue Samuraiを吸いながら編集した写真がいくつもあります。

身体が落ち着くことと、思考が止まることは別なのかもしれません。

抜け方も穏やかでした。強い大麻を吸った翌日は頭がぼんやりと残ることがありますが、筆者の場合、翌朝まで重さが残る感覚はありません。目覚めも軽い

効きの強さと価格

効きは強力です。筆者の体感では、中価格帯の大麻を0.5gほど吸ってようやく得られる満足感に、Blue Samuraiは3〜4口で届きます

1g1,000バーツは、今のタイでは間違いなく高い部類に入ります。ただ少量で足りるぶん減りが遅く、吸い切るまでの体験の総量で見れば、中級価格帯の大麻と大きく変わりません。煙を吸い込む量そのものが減るという利点もあります。

おすすめの吸い方

2〜3人でIzumo Greenを訪れるなら、1gを買ってジョイント2本にしてもらう使い方を勧めます。1本を店内で回し吸いすれば、それだけで十分に足ります。残りの1本は、落ち着いて過ごせる場所へ持ち帰る。

少量で効くという特性を考えると、この量で2〜3人が満足できます。

「土は宇宙だ」

Izumo Greenのオーガニック大麻ファームの土2

タイでは他にも複数の大麻農場を見学し、栽培者から直接話を聞く機会がありました。どの生産者も独自の方法を持ち、良いものを届けたいという意識は共通しています。

そのうえで、Izumo Greenのファームを取材して強く感じたのは、この農場が本当に育てているのは「生命が循環する環境」なのではないか、ということでした。土のために微生物を養い、微生物のために魚を飼い、その魚の餌まで自分たちで作る。買えば済むものを、あえて作り続けている。

堀越氏は今も研究を続けています。農業に完成形はない、というのがその理由です。

「一握りの土の中には、目に見えない微生物や菌類、さまざまな生物が存在しています。その世界は、私たちが見上げる宇宙と同じように、まだ解明されていないことばかりです」

土は宇宙だ、と堀越氏は言います。

IZUMO GREEN BANGKOKの大麻バッズ

ディスペンサリーで受け取るバッズは、手のひらに収まる小さな塊です。砕いて、巻いて、火をつける。その数分の裏側には、何年もかけて育てられた土があります。

THC含有量や価格だけでは見えてこないものがある。今回の取材を通じて、それが少しわかった気がしました。

大麻も、経験を重ねるほど「どこで買うか」だけでなく、「誰が、どのように育てたか」が気になってきます。そんな栽培の背景まで知ったうえで味わいたい人にこそ、Izumo Greenは試す価値のある店です

実際に足を運ぶとどんな店なのか。店内の雰囲気や夜のライブイベント、日本語対応の接客については、Izumo Greenの店舗紹介記事で紹介しています。

Izumo Green・バンコクの店舗情報

IZUMO GREEN BANGKOKの外観

なお、Izumo Greenでは医療大麻の診断書を店内で発行できます。発行には本人確認のためパスポートが必要なので、診断書を希望する場合は忘れずに持参してください。タイの大麻規制は変化を続けているため、訪問前に最新の状況も確認しておきましょう。

  • 住所:18/8 Fico Place Building, Sukhumvit 21 (Asoke) Road, Klongtoei Nua, Wattana, Bangkok 10110, Thailand
  • アクセス:BTSアソーク駅から徒歩5分
  • 営業時間:毎日12:00〜0:00
  • 医療大麻診断書発行:可
  • 日本語対応:可
  • 公式ウェブサイトizumogreen.com
  • SNSInstagram / Facebook

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