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チェンマイには五つ星ホテルがいくつもあります。立地が良く、サービスが整い、写真映えする宿も多い。
その一方で、自然の中で「何もない時間」を過ごしたい人に選ばれている場所が、郊外にひっそりとあります。それが「リゾートホシハナ」です。
邦画『プール』のロケ地として知られていますが、この宿の本質は映画とは別のところにあります。
隣接する孤児院バーンロムサイの支援事業をきっかけに生まれ、泊まるという行為そのものが、孤児を支える循環の一部になっています。
木々に囲まれたプライベートコテージでは、「どこへ行くか」を考えなくなる。
観光に出なくてもいい。何かをしなくてもいい。
ここに居てしまう理由が、いくつも重なって、気づけば外に出る予定が消えていました。
本記事では、実際の宿泊体験を通して、リゾートホシハナという場所を紹介します。
支援から生まれた、リゾートホシホナ
敷地に入ると、人懐こい猫が迎えてくれます。
リゾートホシハナは、チェンマイ旧市街から車で約30分。11,000坪の敷地に11棟のコテージが点在する、少数棟のみのリゾートです。
ただし、この場所は最初からリゾートとして計画された場所ではありません。
隣接する孤児院「バーンロムサイ」の運営を支える自立事業の一環として生まれた宿です。
バーンロムサイは、HIVに母子感染した孤児たちの施設として、1999年に開園しました。
バーンロムサイ
敷地内にある図書室やレクリエーションルームを備えた建物
当初は、孤児院の運営のすべてを寄付に頼っていました。
その後2002年以降、寄付に依存しすぎない形を目指し、二つの取り組みが始まります。
ひとつは、地元で手に入る少数民族の布やコットン生地を使った「ものづくり」。


もうひとつが、寄付をもとに始まった「宿泊業」でした。この宿泊事業が、現在のリゾートホシハナへとつながっています。
こうした「ものづくり」や「宿泊業」は、孤児院を卒業したあと、一般就職が難しい子どもたちにとって、働く場をつくる役割も担ってきました。
日本人の支援が、この宿を支えてきた理由
バーンロムサイの立ち上げに深く関わったのが、日本人の名取美和さんです。
知人を通じて、「資金を社会のために役立てたい」と話していたジョルジオ・アルマーニジャパン関係者の声を受け、「チェンマイに孤児院を建てませんか」と提案したのが始まりです。その結果、本国から立ち上げに必要な寄付が届きます。
名取美和さんをきっかけに、バーンロムサイには日本人や日系企業との関わりが生まれ、現在のリゾートホシハナへと続く流れが形づくられていきました。
様々な団体から寄せられてきた支援の記録
ユニクロによる衣類支援
なぜ映画『プール』のロケ地になったのか
映画『プール』のワンシーン
チェンマイが舞台の邦画「プール」は、タイ好きのあいだではよく知られた作品です。
そのロケ地がリゾートホシハナであることも、ある程度知られている話でしょう。
ただ、雰囲気が良かったからロケ地に選ばれた、という単純な理由ではありません。この場所には、映画のロケ以前から続く背景があります
リゾートホシハナで最初のコテージが建てられたのは2004年です。
しかしその前年、コテージよりも先に作られたのが、このプールでした。

当時、バーンロムサイのHIVに感染した子どもたちは治療薬を飲み始め、学校に通えるようになっていました。
しかし、HIVへの理解が十分でなかった時代です。
同じプールに入ることや、飲み物を回し飲みすることを避けられる場面も少なくありませんでした。
その状況を見て、アルマーニジャパンの関係者が「子どもたちのためにプールを作ろう」と提案します。
こうして、孤児院の隣の敷地にプールが作られました。
プールで無邪気に遊ぶ子どもたち。夜になると、水面に星が映り、風が抜けていく。
この素敵な場所に、人が泊まれる空間があってもいいのではないか。そんな話が自然に出るようになります。
そのタイミングで手を挙げたのが、映画『プール』制作陣の方々でした。「だったら、作りましょう」
そう言って、最初のコテージを建てるための寄付が行われます。
こうして完成した一棟目が、映画でも印象的に登場する「Suika」という名前のコテージです。
この名前は、出演者のもたいまさこさんが好きだったドラマ「すいか」に由来しています。
以降に建てられたコテージも、出資者がそれぞれ自由に名前を付けました。
「イチカワ(ichikawa)」「ウホウ(uho)」「カッシー(kassy)」個性的な客室名が並ぶのは、その名残です。
外と内のあいだ、nakaniwa


今回宿泊したのは「nakaniwa」という客室です。
この部屋は、一般的なコテージのように「室内に入る」感覚から始まりません。

敷地に足を踏み入れると、まず半屋外の空間に立たされます。屋根はありますが、完全に閉じられてはいない。空気や音がそのまま入り込み、外と内の境界が曖昧な場所です。正面に扉があり、左がリビング、右がベッドルーム。2階には屋外のバスタブがあります。
リビング

部屋に入ったというより、一度外から切り離された、そんな感覚が先に来るコテージです。靴を脱ぐ、扉を開ける。その一つ一つが移動ではなく、気持ちを切り替える動作になる。外と内のあいだに、意図的に一呼吸分の余白が置かれているように感じました。


中庭を中心にした造りのため、どこにいても視線が抜け、閉塞感がありません。それでいて、人の気配はほとんど届かない。静かですが、無音ではない。風の音や木々の揺れが、時間の経過だけを知らせてくれます。
この部屋にいると、「何をするか」を考えなくなります。
本を読むでも、何かを書くでもいいし、何もしなくてもいい。外に出る予定は自然と頭から消え、気づけばリビングでただ座っている時間に心地よさを覚えます。

時間の使い方をこちらに委ねてこない。だからこそ、静かに過ごしたい人や、チェンマイに何度か来て、もう観光を詰め込まなくなった人には、ちょうどいい距離感の客室だと思います。
映画が残した部屋、suica

suicaは、リゾートホシハナで最初に建てられたコテージです。映画『プール』のロケでも使われ、この場所を象徴する一棟でもあります。

nakaniwaとは、空間の向きが少し違います。nakaniwaが敷地の内側へ意識が向いていく造りだとすれば、suicaはもう少し外に開かれている。中心にあるのは象徴的な東屋で、屋根に守られながらも四方に視線が抜け、敷地の風景がそのまま居場所になるような感覚があります。



この部屋に立つと、「映画で見た場所だ」という意識よりも先に、どこか懐かしい感覚が残ります。理由を説明できるノスタルジーではなく、昔からここにあったような空気。時間と人の支援が積み重なってきた場所特有の静けさがあります。
映画を知っていても、知らなくてもいい。この場所に残ってきた空気を、そのまま受け取ることができる。そんなコテージでした。
プールで過ごす、何もしない時間

このプールは、何かをする場所ではありません。泳がなくてもいいし、入らなくてもいい。椅子に座って水面を眺め、風で揺れる木々の音を聞く。それだけで時間が過ぎていきます。
観光向けの演出はなく、人が集まる仕掛けもありません。だから、予定が生まれない。ここでは「何をするか」を考える必要がなく、ただその場に身を置くだけで時間が成立します。

ホシハナの背景を知っていると、静けさの質が変わってきます。子どもたちのために作られ、誰かを排除しない場所として残ってきた水辺。その文脈があるからこそ、このプールは主張しない。
周囲の木々にとまる小鳥の囀りを聞きながら、ただ、ひたる。ここでは、それ自体が贅沢な時間です。
ホシハナの記憶に残った、シャン州の料理
リゾートホシハナの食事で印象に残っているのは、シャン州を起源とするタイヤイ料理でした。北タイの暮らしの中に長く溶け込み、この土地の日常として受け入れられてきた料理です。
タイヤイ焼きそば+タイヤイお茶の葉サラダセット:260バーツ
タイヤイ焼きそばは油分が控えめで、香りも穏やか。強い主張はなく、静かな昼の空気によく馴染みます。タイヤイ麺も同様で、刺激よりも余韻が残る味でした。お茶の葉を使ったサラダは、ほのかな苦味と食感が心地よく、食後の時間を自然に引き延ばしてくれます。

どの料理にも共通しているのは、「ごちそう」を前面に出さないこと。食事が主役になりすぎず、滞在の流れの中に静かに収まっていきます。外に食べに行くための理由を探さなくても、ここで一日が完結してしまう感覚があります。
タイヤイ麺:200バーツ
旅先で記憶に残る料理というより、この場所で過ごした時間の一部として残る味。ホシハナで食べたタイヤイ料理は、チェンマイという土地の周縁に根付いてきた文化を、そのまま味わう体験でした。
敷地内で、気が向いたことを楽しむ
リゾートホシハナは、何もしなくていい場所ですが、何もできない場所ではありません。敷地内には、気が向いたときに楽しめる体験がいくつか用意されています。
ヨガ教室
敷地内では、薬草を使ったハーブサウナやヨガ、ムエタイなども行われています。
チェックイン後に案内を見て、気が向いたものを前日に予約する、という距離感です。
ハーブスチームサウナ:500バーツ/回
ムエタイ教室:1~4名様:THB900/人,5名様以上:THB600/人
敷地の外に出る体験もあります。プールの制作陣が手がけた「プール号」と呼ばれる車で向かうハンドン市場観光など。他にもタイ料理教師による料理体験など。いずれも観光として消費するというより、滞在の延長線にある選択肢として用意されています。
筆者は、ハーブスチームサウナを体験しました。

強い刺激はなく、体を整え、時間の流れを一段落とすような感覚です。こうした落ち着きの中で体験を挟めることが、滞在をより心地よいものにしています。
背景を知って、静けさの意味が変わった

背景を知らずに泊まっても、この宿は十分に心地いいと思います。
けれど、ここがどのように生まれ、どんな経緯で続いてきた場所なのかを知ったうえで過ごすと、この静けさを、少し違う角度から受け取れるようになります。
滞在中、強く印象に残る演出や出来事があるわけではありません。それでも、気がつくと心地よく時間が過ぎている。
だからこそ、滞在中に「何をしようか」と考える場面が少ない。何もしなかった時間すら、そのまま残る。そんな滞在でした。
リゾートホシハナ 基本情報
- 公式WEBサイト:www.resorthoshihana.com
- リゾートSNS:Instagram / Facebook
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