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タイでは、日本人なら思わず「それ、食べるの?」と箸が止まる食材が、当たり前のように焼かれ、揚げられ、煮込まれています。地方では家庭料理として食卓に出てくることもあります。
今回は、筆者がタイ生活の中で実際に食べたゲテモノ料理から、特に印象に残ったものをランキング形式で紹介します。サソリ、タガメ、赤アリの卵、バロットなど、よく知られた定番はあえて外しました。
なお、中には種類の見分けや食べ方を誤ると危険なものもあるので、安全性が分からないものは口にしないでください。
5位:カエルの串焼き。見た目より味のなさがきつい
まずは、比較的ライトに食べられる珍味から。これは筆者が以前住んでいたバンコク・オンヌットエリアのコンドミニアム前で、普通に売られていたものです。

写真の串は、一本にカエルが7匹刺さってわずか10バーツ。お世辞にも美味しそうな見た目とは言えず、安すぎる価格にも少し不安を覚えます。
しっかり焼かれているため、食感はパリッとしていて歯応えは中々良いです。ただ感じの味は…ありません。
正確には、焦げ臭さだけがあります。たとえるなら、味のない焦げた薄皮を食べているような感覚です。ビールのつまみとしてならギリギリ許容できますが、さすがに7匹は多い。3匹食べた時点で「あと4匹もあるのか……」と、そこからは修行でした。
自宅コンドミニアムの目の前で毎日売られていましたが、食べたのはこの一回きりです。
4位:カブトガニ。食べる前が一番盛り上がる珍味
続いては、人気観光地アンパワー水上マーケットで食べたカブトガニ(แมงดาทะเล / メンダー・タレー)。生きた化石とも呼ばれ、日本では基本的に食用として出回らないだけに、見かけたら食べてみたくなる珍味です。

ただ、結論から言うと、この食事で最も楽しかったのは、食べる前にあれこれ想像していた時間でした。
「カブトガニって、どのくらい身が詰まっているのか」「エビのようにぷりっとしているのか」「カニ味噌のようなものがあるのか」。勝手に期待が膨らみます。
しかし、実際に食べてみると完全に肩透かしでした。まず身がほぼありません。硬い甲羅ばかりで、どこを食べればいいのか分からない。店員に聞くと、食べるのは中の卵とのこと。

カブトガニで食べる部分は主にこの卵。
たしかに中には卵らしきものがあります。ただ、これがまあ美味しくない。生臭さがあり、食感はグミのようで気持ち悪い。卵特有のプチプチ感ではなく、噛むと「んぐにゃあ」と崩れるような感じです。カニやエビのような分かりやすい旨味を期待すると、かなり拍子抜けします。
後から他の人の体験談を読んでも、カブトガニを絶賛している声はあまり見かけません。やはり、食べる前の期待値が高すぎる珍味なのだと思います。
なお、カブトガニは種類の見分けを誤ると食中毒につながる危険があります。タイ国内でも食中毒の事例があるため、興味本位で安易に食べることはおすすめしません。
3位:ムックショット。食べるな危険の生イカ珍味

グラスに注がれたナムチム。そこに、生きたままの小さなイカがスポッと入る。
「お酒みたいにグイッと飲んで食べるんだよ」とタイ人に勧められたのが、ムックショット(หมึกช็อต)という珍味です。
口に入れると、イカが少し暴れる感触があります。それをコリッと噛み潰し、ナムチムのピリッと辛いアクセントと一緒に胃へ流し込む。
見た目はスマート。食感も味も、イカだけに普通に美味しい。東南アジアらしいエキゾチックな珍味と言えるかもしれません。
初めて食べた、イカの踊り食いムック・ショット(หมึกช็อต)。グラスにナムチムを入れて、さらに生きたイカを入れ、暴れるイカを丸かじり!結構美味い。 pic.twitter.com/Q48xu1bVlu
— リーさん🇹🇭Webライター (@AsiaThailand208) April 30, 2023
こんなに面白い食べ物があったのかと感動した筆者ですが、このムックショットは本気で危険です。理由は、生のイカには寄生虫アニサキスがいる可能性があるため。
「大丈夫だよ。このイカはそんなに大きくないし。マイペンライ」と笑うタイ人。いや、不安しかない。
運良く筆者は何事もなく済みましたが、今考えるとゾッとします。
ムックショットは、珍味としてはかなり面白い。ただし、生きたイカをそのまま口に入れる以上、安易にすすめられる料理ではありません。まさに、食べるな危険の生イカ珍味です。
2位:トム・ウン・カイ。ハラワタ丸見えのカエル系珍味

トム・ウン・カイ(ต้มอึ่งไข่)は、主にイサーン地方で食べられるカエル料理です。雨季に卵を持った食用カエルを、唐辛子や香草、酸味のあるスープで煮込んで食べます。タイ語ではこのカエル系の両生類を「ウーン」と呼び、卵を持ったものは雨季の珍味として扱われています。
これは、当時付き合っていたタイ人彼女の実家で出てきた料理です。庭先では大量のカエルを繁殖させており、なぜ育てているのか聞くと、返ってきた答えは「売る、食べる」。
何を言っているんだと思いましたが、本当にこうして家庭料理として食卓に出てきます。
特徴的なのは、やはりこの見た目です。この料理のキモはカエルの卵。卵を見せ、食べやすくするためなのか、ハラワタ丸見えの状態で提供されます。

画像引用:www.naewna.com
正直、箸を伸ばすにはかなり勇気がいります。
しかし、一度食べてみると、意外といけます。スープは少し辛く、唐辛子と香草の風味、そして酸味が効いたイサーン料理らしい味付け。身や卵の臭みが前に出そうな食材ですが、香草と酸味でうまく抑えられています。
カエルの身は、上品に言えば白身魚のような食感。卵は少しプリッとしていて、思ったほど悪くありません。見た目の強烈さに反して、味そのものはよくまとまっています。
収穫できる時期が雨季に限られるため、現地ではわりと貴重な食材とのこと。そう聞いたうえで食べたことも影響しているかもしれませんが、これは珍味好きなら気に入る人も多いはずです。
1位:カブトムシ。これだけは口に運べなかった
できるだけその土地の食文化に敬意を払い、食わず嫌いだけはしないよう努めてきた筆者が、唯一まともに口にできなかったのがカブトムシの串揚げ(ด้วงกว่างทอด / ドゥアン・クワーン・トート)です。

これも、当時付き合っていたタイ人彼女が出してきたもの。羽を処理したヒメカブトを揚げ、竹串に複数匹刺したものが20バーツほどで売られていました。
ああ、もう見た目が無理です。
食用ヒメカブト自体は日本でも流通しており、食べたことがある人もいると思います。ただ、やはり問題はビジュアル。カブトムシが串刺しで並んでいる様子は、どうしても食べ物として受け入れられませんでした。
彼女は普通に食べていたので味を聞くと、「土臭いけどサクッとしている」とのこと。おそらく、カオサンあたりで売られているバッタやタガメに近い感覚なのだと思います。
筆者もほんのかけらだけ食べてみましたが、少量ではほとんど味が分かりません。ただ、彼女が食べている時の音はサクサクしていて、妙に美味しそうに聞こえるのが不思議でした。
意外にも中には肉のような部分があり、そこも少しつまみました。味は、あえて言えばセミ系。わざわざ好んで食べる人はタイ人でも少ないらしいですが、他の昆虫と同じくタンパク質は豊富なようで、食材として成立しているのは分かります。
ただ、彼女がボリボリ食べたあと、ツノや足のあたりだけを魚の骨のように口から出して、ペッと吐く姿が忘れられません。
文化としては理解したい。でも、これだけは無理でした。
面白いタイの食文化
日本にもタイに負けず劣らずの攻めた珍味はあります。ただ、日本では少し特別に切り分けられることが多い一方で、タイではもっと日常の延長にあります。市場で売られ、路上で焼かれ、家庭の食卓にも並ぶ。
誰かにとってはいつもの味であり、季節の楽しみでもある。その感覚を目の前で見て、実際に口にして初めて、タイの食文化のあり方が少しずつ見えてきます。
もちろん、中にはリスクのある食材もあります。それでも、タイでしか出会えない食文化に触れてみたい人は、安全に気をつけながら、その土地ならではの珍味をのぞいてみるのも面白いはずです。
【食と文化から、タイをもう一歩深く知る】




