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ソンワット通りで日本人夫婦が営む素敵なアートカフェ「HUGS.Songwat」|この街に根ざす理由を聞いた

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ハグズソンワット(HUGS.songwat)のアイキャッチ画像

バンコク・ヤワラート(中華街)とチャオプラヤー川に挟まれたソンワット通りは、全長およそ1.2km。古い町並みの中にアートやカフェが点在し、2023年頃から「バンコクの新たなカルチャースポット」として注目を集めています。

スクンビットやサイアムのような繁華街とは異なり、ソンワットには古い建物を活かした店舗や金物屋などが並び、どこか懐かしい空気が流れています。そんな通りに、筆者が以前から気になっていたカフェがあります。それが今回ご紹介する「HUGS.songwat(ハグズソンワット)」です。

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の外観

HUGS.songwatの外観

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の入り口に貼られているポスター

運営しているのは、日本人夫婦・小宮さんご夫妻。カフェでは、欧米スタイルのブランチやヴィーガンメニューに加えて、日本食の定食やおにぎりも提供されており、国籍も文化も超えて楽しめるメニュー構成が特徴です。

店内にはご夫妻の人柄に惹かれて集まったアーティストの作品が壁を彩り、旅人や地元の人々が書き残したメッセージがアートとして積み重なっています。

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の外観に描かれているアート

レトロな街並みに、日本人が営むアートと食の交差点があるというギャップと温かさ。それが、ハグズソンワットの魅力です。

今回は、実際に小宮さんご夫妻にお話を伺いながら、このお店がソンワットという街とどうつながってきたのか、その歩みと魅力を紹介します。

この通りでやりたいと思った。日本人夫婦がHUGSを開いた理由

ハグズソンワット(HUGS.songwat)を営む小宮さんご夫妻

小宮ご夫妻(左:奈々子さん / 右:たいきさん)

店名「HUGS」に込めた思い

HUGS.songwatは2023年12月、バンコクのソンワット通り東端──中華街ヤワラート通りとの交差点近くにオープンしたカフェです。

店名の「HUGS(ハグズ)」には、欧米式の挨拶という意味だけでなく、“Helping Us Grow Spirituality(精神的な成長を助け合う)”という想いが込められています。

これは、オーナーの奈々子さんがある欧米のドッキリ番組を見たときに出会った言葉だそうです。人種差別をテーマにした内容で、ある黒人女性が差別的な発言を受けて「ハグしましょう。ハグには“Helping Us Grow Spirituality”という意味があるんです」と静かに返した──その姿勢に強く心を打たれたといいます。

筆者自身、この話を聞いたとき、「ハグズ」という店名に対して持っていたイメージが一変しました。観光地にあるおしゃれカフェという一面的な印象ではなく、人とのつながりや寛容さを根っこに据えた、小さくても芯のある場所──そんな空気感を、この店は持っているのだと。

バンコクの街角で感じた、カフェ文化への共鳴

次に気になったのは、「なぜソンワット通りを選んだのか?」という点です。

日本人がバンコクで店を構えるとなれば、まず頭に浮かぶのはスクンビットなどの日本人居住者が多いエリアでしょう。ソンワット通りは近年注目を集めてはいるものの、今なおローカル色が強く、日本人経営の店はほとんどありません。だからこそ、筆者としても関心を抱いたのです。

ソンワット通りの西洋風建築物

ソンワット通り

奈々子さんは元々、日本ではカフェで勤務していた経験を持ちます。初めてタイを訪れたのは、開業の4年前。タイに住む幼馴染を訪ねてバンコクを旅した際、特に印象に残ったのがヤワラートやタラートノイなど、古い建物をリノベーションしたカフェが点在するこの周辺エリアでした。

「日本ではあまり見かけない建築の中に、タイ人の感性で新しい文化を取り入れていて。古いものと新しいものの混ざり方がすごく上手で、すごく魅力的に感じたんです」

ホン・シェン・コン(Hong Sieng Kong)

タラートノイのカフェ「ホン・シェン・コン」

そのときの体験がずっと心に残り、「もし自分がカフェをやるならこういう場所がいい」と思い描くようになったそうです。

ソンワットを選んだ理由は“人のつながり”だった

とはいえ、いざ出店を決意した際には多くの友人知人から「絶対にスクンビットにした方がいい」と反対されたと言います。それでも彼女たちがソンワット通りに決めた理由──それは、このエリアに根付く「人と人のつながり」に惹かれたからでした。

きっかけは、現地で知り合った台湾人の紹介で、ソンワット通りの商工会「MADE IN SONG WAT」の存在を知ったこと。物件の紹介やオーナーとの仲介だけでなく、地域で商いを営む人々との出会いが次々と生まれ、そこにある“迎え入れてくれる空気”に心を打たれたといいます。

MADE IN SONG WATのガイドブック

MADE IN SONG WATのガイドブック。ソンワット通りで販売されています(mgronline.com

「カフェが成り立つには、単なる料理や空間以上に、地域とのつながり=コミュニティが欠かせないと思っています。ソンワットにはそれが濃く根付いていて、自分たちのやりたいことを実現できる場所だと感じたんです」

ロケーションではなく、「空気」と「関係性」で選ばれたHUGS.songwat。日々この街にとけ込みながら、夫婦二人で丁寧に店を育て続けています。

HUGSを彩るアートと、旅人との偶然の連なり

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の店内

レトロで遊び心にあふれたHUGS.songwatの店内。壁や棚には、アート作品や古着、ZINE、Tシャツなどが所狭しと並び、ご主人・たいきさんが影響を受けてきた1970〜80年代カルチャーが随所に息づいています。まるで“街のなかの秘密基地”といった雰囲気です。

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の店内2

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の店内3

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の店内4

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の店内5

ところが、開店当初は今とはまるで違う、何もない殺風景な空間だったそうです。

転機は、ある韓国人の来店客からの「この外壁に絵を描いてもいいですか?」という一言。そこから、“描いていい?”という声が連鎖し、旅人やアーティストが自然に関わってくれる空間へと姿を変えていきました。

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の外観に描かれているアート2

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の外観に描かれているアート3

いまでは、店の壁やガラス窓、2階席に至るまで、至るところが「自由に表現できる場所」となっています。どこか雑多でいて温かく、その多様な表情こそが、ソンワート通りの空気感にぴったりと馴染んでいます。

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の2階席

ハグズソンワット(HUGS.songwat)2階席のアート1

ハグズソンワット(HUGS.songwat)2階席のアート2

2階では、不定期にアーティストによるエキシビションも開催。訪れるたびに、店の“表情”が変化しているのもHUGSならではの面白さです。

スイス人女性「フランカ」が描いたハグズソンワット(HUGS.songwat)のアート

中でも印象的なのが、あるスイス人アーティストによる作品。虎や龍をモチーフにしつつも、虎の足をわざと3本にしたり、常識を少しだけずらす表現をするそうです。その理由を聞くと「虎の足は4本」という既成概念に“あえて疑問を投げかける”という姿勢があるとのこと。

その自由さに、店主夫妻も強く共感し、いまでは彼女の作品が店内の至るところに展示されています。ぜひ店内をゆっくり眺めながら、その偶然と共鳴のアート空間を感じてみてください。

街の声から生まれた日本食メニューと、旅人を惹きつけるヴィーガン料理

ハグズソンワット(HUGS.songwat)のメニュー

ハグズソンワットでは、プレート型のブランチや定食を中心に、アボカドトースト(280B)、自家製スクランブルエッグプレート(320B)といった欧米スタイルのメニューに加え、アジフライおにぎりプレート(270B)やハンバーグ定食(290B)など、日本食も提供されています。

この「欧米×日本×アジア」が自然に混ざり合った構成こそ、まさに“HUGSらしさ”を象徴しているように思います。

今回は筆者もその“HUGSらしさ”を味わいたく、日本食から「Hamberg steak onigiri plate(290B)」を注文してみました。

ハグズソンワット(HUGS.songwat)のハンバーグ定食1

ハグズソンワット(HUGS.songwat)のハンバーグ定食2

しっかりとした肉の旨みと、日本人好みの優しい味付け。ソンワット通りの中華街的な景色とのギャップも含めて、なんとも不思議な体験です。

 

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スクランブルエッグなど、欧米式ブランチの定番も美味しそうです。ヘルシーで朝にもぴったり。

ハグズソンワット(HUGS.songwat)のスコーン

ハグズソンワット(HUGS.songwat)で飲んだコーヒー

美味しいコーヒーも飲んでまったり一息

実は、日本食メニューは当初からあったわけではありません。近隣に住むタイ人から「日本人がやってるのに日本食はないの?」という声が多く寄せられ、試行錯誤を経て導入したのだそうです。まさに、街の声から生まれたメニューと言えるでしょう。

今では、おにぎりプレートやハンバーグは、ソンワット周辺を散策する子連れの日本人や、ローカルのファミリー層にも人気。観光地として注目されるこのエリアでは珍しい、日本人経営ならではの“安心できる味”として親しまれています。

ヴィーガン料理や欧米式のメニューも根強い人気があり、外国人旅行者からの支持も厚いとのこと。アートと文化が混ざり合うこの場所で、料理のスタイルまでもがクロスオーバーしている点に、HUGSの独自性を感じます。

──次に訪れたときは、ぜひ他のプレートや自家製デザート、そしてこだわりのコーヒーも試してみたくなる。そんな余韻を残す食体験でした。

ハグズソンワット店舗情報|アクセス・地図・SNS

● 店舗基本情報

  • 店名:HUGS.songwat(ハグズ ソンワット)
  • 営業時間:8:30〜18:00
  • 定休日:火曜日
  • 支払い方法:現金 / QRコード決済 / クレジットカード(Visa・Master・JCB) / Alipay

● アクセス

  • 最寄駅:MRTファランポーン駅(Hua Lamphong)より徒歩約9分
  • 所在地:42 Soi Charoen Phaniang, Talat Noi, Samphanthawong, Bangkok, Thailand 10100

● 公式SNS

コーヒー一杯だけでも、立ち寄ってみてほしいカフェ

ハグズソンワット(HUGS.songwat)の外観4

カフェや雑貨屋が点在するソンワット通りは、街歩きの楽しさが詰まったエリアです。そんな散策の途中で、HUGS.songwatにもぜひ立ち寄ってみてください。観光客も地元の人もふらりと訪れる、肩肘張らずに過ごせる場所です。

店主の小宮さん夫妻は、日本にいた頃、東京の自転車店「ブルーラグ」が運営するカフェで働いていた経験を持っています。いまも趣味で自転車を楽しんでおり、バンコクでは王宮周辺などを中心に、時間を見つけて気ままに走っているそうです。もし自転車好きであれば、そんな話で盛り上がれるかもしれません。

また、子連れでソンワット通りを訪れる方にとって、日本食が食べられるHUGSは貴重な存在です。おにぎりプレートやハンバーグなど、子どもでも食べやすいメニューが揃っており、食事に困りがちな街歩き中でも安心して利用できます。

一杯のコーヒーを飲みに、あるいはちょっと一息つきに──。
ソンワット通りを歩くなら、HUGS.songwatもそのルートに入れてみてはいかがでしょうか。

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