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2022年6月、タイで大麻が合法化されて以来、筆者は約3年間、医療大麻を使用してきました。もともと20代の頃、バックパッカーとしてアジアを旅する中で、各国で娯楽目的で大麻を使用してきたため、大麻そのものに対する抵抗はありませんでした。
しかし、タイでの合法化を機に、大麻との向き合い方は変わりました。単なる嗜好品ではなく、睡眠不足の解消や心の不安を和らげるための「医療用」として使用するようになったのです。
本記事では、大麻が合法化されてからの約3年間、実際に医療用として使用し続けてきた筆者の体験をもとに、心と体にどのような変化があったのかを振り返ります。
大麻が人体や脳に与える影響については、現在も研究が進行中です。そのため、一概に良い・悪いと断言することはできません。しかし、筆者個人としては、大麻が自身の生活において「プラスの影響」をもたらしたことを確信しています。大麻に救われた部分があるのも事実です。
なぜ医療大麻を使い始めたのか?
もともと筆者が大麻に惹かれたのは、純粋に娯楽目的でした。ハイになる感覚、高揚感、音楽や映画がより深く感じられる瞬間、友人との会話が弾む楽しさ、食事の美味しさ、SEXの感覚の変化、ゲームへの没入感。そして、思考が普段とは違う角度から整理され、新たな発想や気づきを得られる感覚。すべてがシラフのときとは異なる鮮やかさを持ち、そこに魅力を感じていました。
こうした感覚は、大麻を経験したことがある人なら、一度は味わったことがあるはずです。
特にファーストトリップの体験は、今でも鮮明に覚えています。世界のすべてがいつもより鮮やかに感じられ、圧倒的な多幸感に包まれました。スピーカーから流れていた音楽が心に深く響き、気づけば大粒の涙を流していました。
たぶん、この瞬間、大麻に恋に落ちたんだと思う。
タイで大麻が解禁されるまでは、筆者にとって大麻は「特別な時にだけ楽しむ娯楽」であり、日常的に使用するものではありませんでした。
しかし、パンデミックをきっかけに、その関係性は大きく変わります。
パンデミックで精神的に追い詰められた日々
筆者は2017年頃からフリーランスとして、タイと日本の二拠点生活を続けていました。しかし、コロナのパンデミックが原因で仕事の収入が激減。一時は自死を考えるほどの精神的なダメージを受けました。
「自分が一生懸命続けてきた仕事は、たった一瞬で無価値になるものだったのか…」
そんな思考が頭の中でこびりつき、次第に睡眠障害や強い不安感、疑心暗鬼の状態に陥るようになりました。人を避けるようになり、まともに眠れず、起きている時間も常に恐怖心に支配されている感覚でした。
その後、日本に帰国。
そして、その後も不安を紛らわせるために、筆者は向精神薬に依存するようになりました。
向精神薬への依存と精神の崩壊
最初は一粒で気持ちが楽になったものの、日に日に服用量は増加。最終的にはウイスキーのロックで向精神薬を流し込み、やっと普通の精神状態を保てるような状況に。
薬が切れると情緒不安定になり、SNSで他人の投稿を見るだけで苛立ち、まともな判断ができなくなっていました。日に日に酒の量も増え、次第に食事も取らず、ただ酒を飲むために胃を空にし、もっと飲むために吐く。そして、向精神薬を酒で流し込み、気分を紛らわせる。そんな日々が続きました。
「このままではいけない」
そう思いながらも、薬の依存から抜け出せない日々が続きました。
「タイでの大麻解禁」が転機になった
そんな時、筆者の目に飛び込んできたのが「タイで大麻解禁」のニュースでした。
当時は、「もうタイのことは忘れ、日本で期間工でもしながら新しい人生を歩もう」と考えていました。しかし、アジアで初めて大麻が合法化された瞬間を、一度この目で見ておきたいという衝動が湧き上がりました。
「最後に一ヶ月だけタイに滞在し、合法の環境で大麻を吸ってみよう。もしかしたら、この絶望的な気持ちを変えられるかもしれない」
そんな藁にもすがる思いで、筆者は再びタイへと飛びました。
大麻解禁後のタイ
久しぶりに訪れたタイでは、街中にディスペンサリー(大麻販売所)が乱立し、目を疑うほどの変化が起きていました。
販売されている大麻は、目的別に品種が選べるクオリティの高いもの。非合法国で流通するピンキリなものとは違い、自分の状態に合わせて最適な品種を選べる環境が整っていました。
そんなタイの空気に触れながら大麻を試してみた結果、筆者の中で、少しずつ精神的な余裕が戻ってきたのを感じました。
「この世界にはまだ希望があるかもしれない」
パンデミック前のように、未来へのワクワク感が少しずつ戻り、「まだ自分にできることがあるんじゃないか」と思えるようになったのです。
そして、この場所で再び人生を立て直すことを決意しました。
医療大麻を3年間使い続けた結果、何が変わったのか?
常用しているとはいえ、筆者は毎日朝から晩まで大麻を吸っているわけではありません。使用頻度は週に2〜3回、寝る2〜3時間前に吸い、ストレッチをしたり映画を見たりしてリラックスしてから眠る。そういった使い方が多いです。
また、必要がないと感じた時は、1〜2ヶ月まったく吸わないこともあります。
基本的には娯楽としても楽しみながら、睡眠の質を向上させ、気分を落ち着かせることを目的としています。
向精神薬を手放し、睡眠の質が向上
まず、向精神薬を必要としなくなりました。さらに、睡眠の質が圧倒的に向上し、途中覚醒がなくなり、朝の目覚めが爽快になったことで、一日のスタートが楽になりました。
「向精神薬や睡眠導入剤を大麻に置き換えただけでは?」と思われるかもしれません。しかし、大きな違いがあります。向精神薬や睡眠導入剤は、薬の効果が切れた際に倦怠感やイライラが残ることがあるのに対し、大麻にはそれがありません。そのため、日常の仕事にも支障をきたさずに済むのです。
酒の量が減り、依存的な飲み方をしなくなった
気分を落ち着けるために飲んでいた酒の量も減りました。現在も酒は好きで飲みますが、以前のように「吐いては飲み、また飲む」という極限の現実逃避のような飲み方はしなくなりました。
メンタルの安定と自己対話の時間
大麻を吸うことで、筆者のメンタルは圧倒的に向上しました。
大麻を吸ったときにメンタルに現れる変化を言葉で表現するのは難しいものですが、筆者の場合は、単に高揚感を得るだけではなく「自分と向き合う時間を持てる」ことが最も大きなメリットでした。
大麻を吸うと、普段自覚していない心の奥深くの感情や、無意識のうちに目を背けていた心理、自分の欠点と向き合うことがあります。
こうした「自己対話」の時間は、自己嫌悪に陥りやすい人にとっては辛く感じることもあるでしょう。しかし、それを乗り越えることで、今の自分にできること、これからの生き方、将来どうありたいのかを、負の感情なしに整理できるようになりました。
大麻と共に考えを整理し、仕事の軌道を取り戻す
収入が激減し、精神的に追い詰められていた時期、筆者はただ落ち込むだけでなく、そこからどう抜け出せるかを考え続けました。
大麻を使用することで、感情的な混乱を整理し、冷静に考える時間を持てるようになりました。そして、「今自分ができること」「これから何をすべきか」を見出すことができ、仕事の面でも再び順調な日々を取り戻すことができました。
こうした体調面・メンタル面の変化を振り返ると、筆者にとって、処方された向精神薬を飲み続けるよりも、圧倒的に大麻が「薬」になったと感じています。
「大麻はただの娯楽」ではなく、自分と向き合い、前向きな人生を取り戻す手助けをしてくれた存在だったのです。
医療大麻は本当に「是」か「非」か?必要な人に届くべき環境とは
筆者は大麻に救われた人間であり、大麻肯定派ではあります。しかし、それでも決して大麻を万能薬とは思っていません。実際、酒やタバコが人によって合う・合わないがあるように、大麻も人によってはメンタルに悪影響を及ぼすことがあります。
たとえば、大麻によって深い自己対話に入った際、もう向き合うべきではない過去のトラウマが掘り起こされることもあるでしょう。自己嫌悪に陥る時間は、誰にとっても辛いものです。
また、筆者の友人・知人の中には、一度大麻を経験してみたものの、「二度とやりたくない」「あの香りを嗅ぐだけで気分が悪くなる」という人もいます。こうした人が存在するのも事実であり、大麻を楽しむ人は、それを受け入れる配慮も必要でしょう。
しかし、だからといって「大麻は良いもの」「大麻は悪いもの」と極論で決めつけるのは、あまりに短絡的だと考えています。大麻が必要な人に適切に届く環境が整備されるべきであることは間違いありません。
本当に必要なら、環境を変える選択肢も
筆者自身の結論としては、大麻は間違いなく「是」です。しかし、日本では非合法であり、社会的にも「まずいもの」として扱われているのが現実です。
幸いなことに、日本からほど近いタイでは現時点で医療大麻が合法です。ヨーロッパやアメリカに行くよりも、タイなら手軽に訪れることができます。大麻が必要な人は、無理に日本で求めるのではなく、合法の国に来るという選択肢もあるのではないでしょうか。
もし大麻が本当に必要なら、タイに住んで医療用大麻を使用できる環境に身を置くことも、一つの選択肢です。
幸いなことに、現在はパソコン一台で稼げる時代になり、タイにもDTV(デジタルノマド向けビザ)をはじめとした多様なビザ制度があります。
「日本では大麻が認められない」と嘆くより、合法の環境に身を置くことを考えてみるのも、一つの方法ではないでしょうか。