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タイは世界的に有名な観光国であり、特に観光地では英語が広く通じます。旅行者としてタイを訪れた際、英語が通じなくて困ったという経験を持つ人はほとんどいないでしょう。
しかし、実際にタイで生活を始めるとなると、英語だけで本当に生活できるのかと疑問に思う方も多いはずです。タイ語は習得に時間がかかるため、多くの移住者はまず英語だけで生活を始めたいと考えるでしょう。
そこで本記事では、英語と日本語のみでタイに住んでいる筆者が、自身の体験をもとに、タイでの英語の通用度を解説します。さらに、客観的な統計データを交え、英語だけで生活がどこまで可能かを詳しくお伝えします。
この記事は、移住者だけでなく、旅行者にとっても参考になるポイントが多く含まれています。
タイにおける英語の現状。英語だけでも生活可能
タイの公用語はタイ語です。日常の会話やメディア(テレビ、新聞など)はすべてタイ語で進行されており、タイ語が社会の基盤となっています。
外国人が多く利用する施設や道路標識など、一部では英語表記も見られます。しかし、一歩大通りを外れると、周囲はすべてタイ語表記に変わります。
国際化が進む中、外国人が多いエリアでは汎用的な英語表記が増えており、その結果「タイは英語が通じやすい」と感じることもあります。
また、観光地に限らず、サービスアパートのフロントや通信会社、銀行の窓口でも、流暢とは言えないものの、契約やサービス説明に必要な最低限の英語は通じます。契約書や領収書も英語表記のものが発行されることがほとんどです。
つまり、ローカルエリアに入らなければ、生活インフラにおいて最低限の英語が通じる場所は多く、多少の不便はあっても生活が成り立つのが現状です。
統計で見るタイの英語力は日本より低い
非英語圏の国々の英語能力を測定する「EF EPI英語能力指数ランキング2023」によると、タイは世界101位にランクインしています。これは82位の中国や87位の日本と比べても低い順位です。
地域別のスコアでは、バンコク、プーケット、チェンマイなどの観光都市を除き、ほとんどの地域が「非常に低い」と評価されています。
この結果は、日本と同様に、観光業に従事しない限り母国語だけで生活できることが背景にあります。実際にローカルエリアの屋台で英語を使っても、ほとんど通じないのが現状です。
ただ、肌感覚で言えば、観光都市や外国人にとって住みやすく、移住者が多い都市では日本よりも英語の通用度は高いです。
英語が通じる場所と場面
では、具体的にどの場所や場面で英語が通じるのかを見ていきましょう。都市部や公共サービス、日常生活における英語の通用度を解説します。
大都市では英語だけで生活可能、地方では”How old are you?”さえ通じないことも
特に外国人観光客や移住者が多い4都市、「バンコク」「チョンブリー(主にパタヤ)」「チェンマイ」「プーケット」では、観光客向けの施設が集中しているエリアに限れば、英語だけで問題なく過ごせます。
バンコクのスクンビット通りでは、コンビニや飲食店の店員でも、簡単な注文や意思表示は英語で対応してくれます。旅行者であれば、現地のタイ人に英語で道を尋ね、英語で案内してもらった経験がある人も多いでしょう。
複雑な会話やネイティブ並みのニュアンスは難しいものの、簡単な片言の英語ならほとんど通じます。
しかし、地方に行くと途端に英語は通じなくなります。たとえば、「How old are you?」「one, two, three…」のような基本的なフレーズすら、地方都市では通じないことが多々あります。
この違いは大きく、英語だけでタイ生活を考えている人にとっては、大都市と地方がまるで別の国のように感じられるでしょう。
つまり、英語のみで生活するなら、必然的に居住地は「バンコク」「チェンマイ」「パタヤ」「プーケット」などの観光都市に限られるでしょう。
英語が通じる公共サービス・生活シーン
(サービスアパートの契約書)
大都市では、ほとんどすべての公共サービスや生活インフラで英語が通じると考えて良いでしょう。
- 病院:大都市の病院では、英語を話せる医師やスタッフが多くいます。
- 役所:ビザ申請や運転免許の手続きでは、英語を理解する職員がいることもありますが、ローカルエリアではタイ語が必要になることが多いです。
- スーパー・コンビニ:観光エリアの大手スーパーやコンビニでは、簡単な英語での対応が可能です。
- 銀行窓口:都市部の銀行では、契約や口座開設時に英語を話せるスタッフがいることが多いです。
- 通信会社の窓口:携帯電話やインターネット契約の際、英語対応が可能なスタッフが多くいます。
- 不動産仲介業者・サービスアパート:賃貸契約や住居に関する手続きで英語が通じることが多いです。
- 公共交通機関:バンコクのBTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)では、アナウンスや表示が英語表記されています。
- 保険関係:医療保険などの各種保険はすべて英語で対応可能です。
さらに、フィットネスジムやコワーキングスペース、ムエタイジムなどの施設でも、英語はよく通じます。筆者もフィットネスジムでパーソナルトレーナーをつけていますが、やり取りはすべて英語で、適切な指導を受けています。
実際、タイ語を話せない移住者は多い
筆者の実感として、多くのタイ在住日本人と接する中で気づいたのは、タイ語を話せない人が圧倒的に多いということです。程度の差はありますが、一般的な日常会話レベル以上のタイ語を話せる人は決して多くありません。
タイ在住歴が10年以上あっても、タイ文字はもちろん、日常会話すら苦手という人は少なくありません。筆者も少しだけ勉強はしていたものの、今ではすっかりやめてしまい、話せるのは数字や簡単なフレーズ程度。正直なところ、とても「タイ語が話せる」とは言えないレベルです。
それでも、バンコクやパタヤなどの観光都市では、英語だけで生活できるのが現実です。
英語のみの生活で困ることは?
ここまで、タイは英語のみで生活できると解説してきましたが、正直に言うと、タイ語ができないと不便さを感じる場面が多々あります。想像してみてください。日本で日本語を話せない外国人が生活することを考えれば、同じ状況になるでしょう。
実際に筆者が感じる不便な点をいくつか紹介します。
交友関係が狭くなりがち
日常生活では、当然周囲にはタイ人が圧倒的に多く、彼らの多くはタイ語しか話しません。確かに、施設や店舗で英語を話せるタイ人もいますが、職務に関する英語はできても、日常的な深い会話ができるほどの英語力はない場合が多いです。
筆者自身も、簡単な意思表示や浅い会話はできても、例えばタイ人に英語で日本の政治や長編YouTube動画の内容を詳しく正確に説明するのは難しいです。タイ人も同様で、深い話ができる英語力を持っている人は少ないです。そのため、タイ人との交友関係が広がりにくいことがあります。
文化が深い意味で理解できない
最近は多くの有識者がタイ文化について本やウェブページを作っているため、文化の基本的な部分は理解できます。しかし、深く文化を理解するには、やはり言葉がわからないと難しいと感じることがあります。
例えば、日本の「ワビ・サビ」や「空気を読む」といった文化的な感覚は、翻訳だけではなかなか理解できません。同様に、タイでも言葉がわからないと、文化の深い部分を理解するのは難しいでしょう。
とっさのやり取りができない
ナイトマーケットで気になる食べ物を見つけて「これは何?」と聞いても、タイ語がわからないと理解できません。翻訳アプリを使えばなんとか理解できますが、咄嗟のやり取りができないと不便です。
エンタメを楽しめない
タイのドラマや映画には日本語字幕がないことが多いです。そのため、タイに住んでいても、タイのエンタメを楽しむ機会が限られます。結局、普段は日本語のYouTubeやNetflixで日本の映画、または日本語字幕付きの洋画を見ることが多くなります。
利用できるサービスの幅が狭まる
日本語や英語に対応しているサービスしか利用できないため、選択肢が限られます。タイ語がわかれば、ローカル向けのサービスを利用でき、コストを抑えることも可能ですが、英語や日本語に対応していないと利用できません。
とは言え、致命的なリスクはない
それでも、ネットやSNSを通じて多くの情報が得られる今、英語のみでも不便なく暮らせます。ディープなタイを楽しむにはタイ語が必要ですが、日常生活においては大きな心配は不要です。
もちろん、タイ語を話せるに越したことはありません。筆者自身も日々その必要性を感じています。
実際、筆者を含め多くの在タイ日本人が「やってよかった」と感じている学習方法のひとつが、オンラインでのタイ語会話教室。
興味があれば、気軽に始められる選択肢としてぜひ視野に入れてみてください。
関連記事タイ語オンライン授業「タイゴックス(THAIGOX)」をやってみた。授業の雰囲気や他会社との料金の比較。
英語のみでも大丈夫!少しずつタイ語も覚えていこう
タイの大都市では、英語だけで十分に生活が可能です。ただ、地方やローカルエリアではタイ語が必要になる場面が増えることを理解しておく必要があります。
それでも、英語だけでもタイでの生活は十分に可能です。筆者自身の体験や、多くの日本人の移住生活からもそれが実感できます。
ただし、少しでもタイ語を学ぶことで、生活がさらに快適になり、視野が広がるのは確かです。移住後、ゆっくりとタイ語を習得していけば問題ありません。
英語や日本語しか話せなくても、ぜひタイ移住を前向きに考えてもらえることを願っています。
【関連記事】タイ移住後の生活費はどれくらい?
英語だけでもタイで「生活できないことはない」ことはわかりましたが、もうひとつ気になるのが現地での生活費。
筆者が実体験をもとに執筆した以下の記事では、バンコク・チェンマイでの一人暮らしにかかる具体的な費用を紹介しています。移住を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
あわせて、日刊SPA!でのインタビューでは「食費だけで月10万円近い」「屋台飯はあまり食べない」など、タイ生活のリアルな金銭感覚についても語っています。
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