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2025年6月14〜15日、バンコク・JJモールにて「Thailand 420 – 10th Anniversary」が開催されました。
タイの大麻アドボカシー団体「Highland」が主催するこのイベントは、タイでの大麻合法化以前から続くもので、今年で10周年。合法化後としては3回目の開催となり、記念すべき節目にふさわしい過去最大規模での開催となりました。
会場には100を超えるブランドが出展し、乾燥大麻やプレロール、喫煙具、アパレルなどのマーケットが立ち並ぶほか、3つのステージではライブやトークセッションが終日行われ、屋内外ともに熱気に包まれていました。
かつては「合法化への理解促進」を目的としていたこのイベントは、いまや“合法後の成熟”を語る舞台へと進化しています。
本記事では、そんな現場の空気を伝えるとともに、合法化直後とは明らかに変化しつつあるタイの大麻カルチャーの“いま”を、現地からレポートします。
社会運動から祝祭へ。タイの大麻カルチャーを育てた『Thailand 420』
『Thailand 420』は、英語圏のカンナビス文化における象徴的な日付「4月20日(420)」にちなんで始まった、タイ独自のカンナビスフェスティバルです。主催は、タイにおける大麻合法化を一貫して訴えてきたアドボカシー団体「Highland」。2022年に大麻が合法化される以前、このイベントは単なる娯楽ではなく、文化としての大麻を発信し、法改正を訴える「社会運動の場」として開催されてきました。
初期のイベントでは、医療大麻の有用性を伝えるトークセッションや、合法化を求める署名活動が行われ、徐々に社会的な関心を集めるようになります。2018年頃には来場者数も増加し、政治家やメディアも注目する存在へ。結果として、2019年の医療大麻合法化、そして2022年の全面合法化へとつながる世論の土壌を築いたと言ってよいでしょう。
合法化を経た今、『Thailand 420』は、闘いの場から祝祭の場へと姿を変えました。特に2023年以降は、SNSを通じて世界中に情報が拡散され、日本をはじめとする国外からの参加者も急増。ライブ音楽、ワークショップ、喫煙具やファッションの物販などが揃った、カンナビスカルチャーの総合フェスへと成長しています。
そして2025年の「10周年記念フェス」は、その歩みの集大成とも言える存在です。合法化以前から続いてきたこのイベントが、今やアジア随一のカンナビスフェスにまで発展したという事実は、タイの大麻カルチャーそのものの成熟を象徴しています。
そんな節目の年に、現場の空気を体感しない理由はありません。6月15日、筆者は友人とともにJJモールの会場を訪れ、その熱気と進化を肌で感じてきました。
「祝祭」から「日常」へ──Thailand 420で見た“成熟するタイの大麻カルチャー”
会場に足を踏み入れた瞬間、そこには“日常としての大麻”がありました。
有名ブランドや企業のブースがずらりと並び、独特の甘い香りが漂う中、屋内ステージではライブが盛り上がり、屋外ではプレロールやボングを手に取る来場者の姿が目立ちます。
レポーターやカメラマンも入り込んでいて、もはやタイでは大麻が“危険なもの”ではなく、当たり前のカルチャーの一部になっていることがよくわかります。
ほんの数年前の状況からは想像もできない光景。これは「勝ち取った自由」の形なのだと感じると同時に、日本ではいつになったらこんな風景が見られるのか…と考えさせられました。
来場者の多様さも印象的でした。ストリート系ファッションの若者もいれば、地元のマーケットにいそうな年配の男女、欧米系の旅行者やカップルまで。年齢や人種、スタイルの違いを超えて、誰もが自然にその場を楽しんでいました。

カオサン通りのディスペンサリー「Peach Panties」のスタッフたちと偶然遭遇。ペーパーを手渡してくれました。
>>>カオサンで女子ストーナーに人気|日本人オーナーの可愛い大麻ショップ「ピーチパンティーズ」
また、日系医療大麻クリニック「Greeus®︎ Medical Cannabis Clinic Bangkok」のスタッフの方々や、大麻系インフルエンサー「Koala Puffs」さんの姿も。
Let’s see how the weed is in Bangkok 🙌🏼
— Koala Puffs (@koalapuffss) June 13, 2025
観光客に加え、多くの著名人や日本人ディスペンサリーのスタッフの姿も見かけました。彼らがごく自然にフェスを楽しんでいる光景は、まさにいまのタイの“普通”を象徴しているようでした。
かつては特別だったものが、今では日常に溶け込んでいる──それこそが現在のタイにおける大麻カルチャーのリアルな姿です。
「Tyson 2.0」からKiefezまで──Thailand420を彩る高品質ブランド
会場にはついに、スペシャルゲストとしてマイク・タイソンが登場。間近で見ると、年齢を感じさせない屈強な体つきに驚かされます。
彼は2021年10月に自身のプレミアム大麻ブランド「TYSON 2.0」を立ち上げ、単なる名前貸しではなく、品種の選定からテイスティング、製品の承認まで自ら関与しています。
「大麻の癒やしの力を多くの人に届けたい」という思いを背景に生まれたこのブランドは、2024年2月よりタイ市場にも参入。
今回のタイランド420では、キーフたっぷりのプレロールが販売され、多くの来場者が関心を寄せていました。
そのほか、CookiesやOCB、KanaPureなど、国内外の注目ブランドも多数出展。
KanaPureのブースでは、スタッフが大麻グミをその場で配布しており、筆者も一口試食。日本では未だにセンシティブな話題ですが、ここでは誰もがリラックスして楽しんでおり、“大麻が日常の一部になっている空気感”を肌で感じました。ちなみに味も◎。
時間の都合上、すべてのブースをじっくり回ることはできませんでしたが、それでも印象的なブランドとの出会いがありました。
そのひとつが、プレロールブランド「Kiefez」。こちらも表面にたっぷりとキーフがまぶされた一品で、実際に試してみると、その香り・バランス・効き方すべてが今日の自分にぴったり。「これは当たりだ」と確信しました。
Kiefezの製品は、バンコク市内の複数のディスペンサリーで取り扱われているとのこと。今後も見かけたらぜひリピートします。
タイランド420が映し出した、大麻のある日常
今回の「Thailand 420」フェスを通して感じたのは、混沌と熱狂に包まれた解禁直後から、文化としての“大麻”が徐々に成熟しつつあるというタイ社会の現在地でした。
もちろん、タイでも大麻をめぐる議論はまだ終わっていません。路上喫煙のマナー違反や未成年への販売、密輸出といった問題が指摘され、再規制の議論も進んでいます。ただ、少なくともこのイベントで目にした光景は、「大麻=悪」という一面的な見方がいかに狭いかを教えてくれるものでした。
日本にも古来から麻にまつわる文化は存在しますが、現代社会においては「大麻=恐ろしい薬物」という刷り込みがいまだ根強く残っています。それがとても残念です。
今回のフェスを通して筆者が感じたのは、これは未来の日本にも訪れうる風景ではないかということです。賛否があるのは当然で、筆者も賛成派ではありますが、反対派の意見を否定するつもりはありません。意見の違いがあることこそ、健全な社会の証だと思っています。
だからこそ、このような体験や記録を通じて、日本でももう少し「大麻」という存在に対する理解が広がっていけばと願っています。タイでは、それがもう“特別なこと”ではなくなっているのです。
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