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写真家・油屋憲司氏
2025年11月15日から12月21日にかけ、日本とタイを拠点に活動する写真家・油屋憲司のタイ初となる写真展が、バンコクとチェンマイの二都市で開催されました。
今回の写真展には筆者も同席。会場は写真を展示する場にとどまらず、音楽が鳴り、人が集まり、自然と会話が生まれる空間となっていました。写真とともに、その場に流れていた空気を記録したいと思います。
タイだからこそ生まれる、油屋憲司の写真

撮られた人が、撮られていることを自然に受け入れている。
視線や立ち姿から、その人がそこに至るまでの時間が伝わってくる。
そんな感覚が立ち上がるのが、油屋氏の写真です。

2023年11月、初めて訪れたタイで、油屋氏が強く印象に残ったのは「撮られる側の意識が、他国とは明らかに違うこと」でした。被写体がカメラを拒まない。むしろ積極的に関わろうとする。その距離感が、写真のあり方そのものを変えていったと言います。
「タイでは、納得するまで撮らせてくれるんです。『もう一回』『後ろが違う』とか言ってくれるし、女性を撮っていても、勝手に背景を消そうとしたり(笑)。一緒に写真を作っている感覚があるんですよね」
撮影が終わった後も、関係が続くことが多いと言います。連絡先を交換し、写真を送り、気に入れば「展示していい?」と聞く。すると「見に行くよ」と返ってくる。撮影から展示までが一本の流れとして続いていく感覚が、油屋氏にとって心地よかったと言います。
「今回展示した写真は、多くがそうやって生まれたものです。人と出会って、話して、撮って、それを家に飾って、また誰かに話してもらえる。写真本来のあり方を再認識できた。」

実際に展示を見ていて、筆者自身も「この写真は、どんな流れで撮られたのだろう」と背景が気になる場面が何度もありました。
構図や技術以上に、写真が生まれるまでの過程が伝わってくる。ストーリーを伴った写真が並ぶ展示だったと感じます。
油屋氏の活動の背景や、タイで写真を撮るようになるまでの経緯については、前回の前パブ記事でも詳しく触れています。
>> タイの空気を写し、音でつなぐ。写真家・油屋憲司の初個展「油屋憲司 写真展 in Thailand」開催
こうして生まれた写真と人との関係性が、実際の空間でどのように立ち上がったのか。
バンコク会場では、展示期間中にひときわ印象的な一夜がありました。
シラチャロッカーズが鳴らした、バンコク写真展の一夜

AREA81 HIDEOUT Hostel Khaosan
11月15日から24日まで開催されたバンコク会場の写真展。そのハイライトとなったのが、11月23日に行われた、タイのレゲエバンド「シラチャロッカーズ(SRIRAJAH ROCKERS)」を迎えてのライブイベントでした。

SRIRAJAH ROCKERS
「元々レゲエは聴いていましたが、タイに来てから本格的にハマりました。タイの気候や空気感はレゲエにすごく合っていると思っていて。
そんな中で知り合ったのがシラチャロッカーズで、今回スペシャルゲストとして参加してもらいました」


シラチャロッカーズの音楽は、確かにレゲエですが、どこかタイの田舎の風景を思い起こさせます。
ゆったりとしたリズムの中に、土の匂いや生活の気配があり、同時に仏教的な精神性も感じさせる。
その感覚が、油屋氏の写真とよく重なっていました。
会場となったカオサンのAREA81には、シラチャロッカーズの音楽が流れ、その周囲に油屋氏の写真が展示されていました。
写真展という場に音楽が重なったことが、この夜の会場を特徴づけていたように思います。

この日は、タイのクラトムブランド「OGクラトム」や、カオサン通りのディスペンサリー「Peach Panties」も出店しており、音楽、写真、人が自然に混ざり合う場が生まれていました。
誰かが意図して作ったイベントというより、人と人との関係の延長線上にあった集まり、という印象の方が近かったように思います。
写真に写る人物たちの佇まいと、会場に流れる音。バンコク編の写真展は、そうした要素が重なった一夜として記憶に残りました。
ゆったりと写真に向き合う、チェンマイでの展示
一方、チェンマイでの写真展は、バンコクとは対照的に、落ち着いた時間の中で行われていました。
会場となったのは、チェンマイのディスペンサリー「Samurai Weed」と、ワロロット市場近くにある「Kadluang Café」です。

Kadluang Café



Kadluang Caféでは、コーヒーを飲みながら店内を行き来する中で、ふと写真の前に立つ。
そんな自然な距離感で作品が見られていたのが印象的でした。
展示を「見に行く」というより、日常の流れの中で写真と出会う。
チェンマイ会場では、そうした時間の使われ方が自然に成立していました。
Samurai Weedでは、印象的な写真がいくつか展示されていました。


油屋氏いわく、「大麻の早吸い競争や、ジョイントの早巻き大会の様子を撮影した写真」だそうです。
それを見て、かつて友人の家で観た大麻堂のDVD『ガンジャマン:ニンビンロックス』を思い出しました。
昔はどこか遠い場所の話だと思っていた出来事が、自分の好きなタイでも行われている。
そして、その場で油屋氏がシャッターを切った瞬間のタイ人の表情がとても印象に残りました。
そうした写真は、Samurai Weedの持つ空気ともよく馴染んでいました。

油屋氏自身も、「チェンマイでは、ゆったりとした雰囲気で展示したかった」と話していました。
バンコクでの一夜の高揚感とは異なり、チェンマイでは、写真そのものと静かに向き合う時間が流れていた。
そんな展示だったように思います。
写真を通して、日本とタイの距離が近づいた実感

「今後も、タイ現地の人との関係を大切にしながら、写真を通して日本とタイを行き来できる流れを作っていけたら」と油屋氏は話します。
今回の展示をきっかけに、2026年には地元・大阪での個展も予定されているとのこと。
また、次回バンコクで写真展を行う際には、以前筆者も取材したソンワート通りのギャラリーカフェ「HUGS.Songwat」での開催も視野に入れているそうです。
油屋氏の写真は、インスタグラムでも公開されています。
もし気になる一枚があれば、そこからタイという国を、少し身近に感じてみてください。
| 油屋憲司氏 公式情報 | |
|---|---|
| 公式WEB | https://www.aburaya555.com/ |
| @abrock | |
| Instagram作品 | @aburayaig |
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